Comprehensive Analysis on Art based on Science and Technology in Cold War America
Project/Area Number |
23K00133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井口 壽乃 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (00305814)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 文化冷戦 / 科学と芸術 / ウィル・バーチン / ジェルジ・ケペシュ / 情報戦略 / 展覧会 / アメリカ / インフォメーション・デザイン / サイバネティックス / 科学技術 |
Outline of Research at the Start |
冷戦期のアメリカにおいて科学技術の開発を背景に創造され展開された芸術を、a)視覚的コミュニケーションとサイバネティックス、b)生命科学のインフォメーション・デザインの各領域から検証し、それらの芸術に対する科学と芸術の共通の想像力の働きを検討する。芸術と科学の融合を提唱したマサチューセッツ工科大学高等視覚研究所の創設者ジェルジ・ケペシュとデザイナーのウィル・バーチンの作品と理論を研究対象とし、科学技術、生命科学の領域と芸術との関連を分析する。さらに1957年のスプートニック・ショック以降のアメリカの科学技術振興政策と芸術活動の相関に検討を加え、「文化冷戦」における芸術活動の実態を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である科学技術に基づく芸術活動において科学的想像力はどのように働き、芸術作品を成立させているかを解明するために、米国公文書館にてUSIAの冷戦期の史料を調査し、以下二つの展覧会に注目し、分析と考察を行なった。 第2次世界大戦中に米国へ移住したドイツ人デザイナーのウィル・バーチンの冷戦初期における米国情報局(USIA)への協力としての「カラマズー展」に注目し、対ソ宣伝戦略においてモダンデザインの理論と手法がアメリカのプロパガンダに利用されたことを実証した。研究成果は、日本デザイン学会第70回春季大会(2023年6月25日、芝浦工業大学)にて、「冷戦初期におけるウィル・バーチンのプロパガンダ・デザイン:米国情報局の情報戦略「カラマズー展」」と題して口頭発表を行った。さらに分析を進め、論文「Cultural Cold War in the 1950s: The "Kalamazoo" Exhibition Designed by Will Burtin and USIA」を、Journal of the Science of Designに投稿し採択された。 さらに、米国公文書館にて1960年代の連邦政府の科学技術政策と対外政策について調査と、スミソニアン・アメリカン・アート・アーカイヴにて、ジェルジ・ケペシュに関する調査を実施した。連邦政府の科学技術を推進する方針と、ジェルジ・ケペシュの芸術思想の関連が見られた。ケペシュによる展覧会「創造的なメディアとしての光展」(1965)に注目し、アメリカの情報戦略と政治的背景、文化への展開について、分析を行なった。研究結果は「G.ケペシュによる「創造的なメディアとしての光展」(1965):文化冷戦時代の科学と芸術」と題して、日本デザイン学会第71回春季大会(2024年6月、九州産業大学)にて口頭発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国公文書館に保管されている冷戦時代のUSIA関連の記録から、米国の対ソ戦略と文化冷戦の方針に関わる一次史料が発見された。それらの中には、日本も含む極東アジアにおける科学展に関する企画が行われていたことが判明した。1960年6月に東京晴海国際貿易センターにて「宇宙大博覧会」が開催され、博覧会における米ソの人工衛星の具体的な展示内容と、冷戦期特有の米ソの競争の舞台に日本の関与が認められた。 さらにジェルジ・ケペシュが1960年代に科学と芸術の融合を推進していた背景に、米国の科学技術を推進する国家的プロジェクトとの関連があることが、解明されつつある。ケペシュによる講演原稿、展覧会の企画書、論文の分析の結果、「光」を用いた芸術の建築や環境芸術への応用を志向していたことが明らかとなった。ケペシュは科学と芸術を融合させるための研究機関の創設の必要性が説き、それがMITの高等視覚研究所の設立への思想的背景であった。ケペシュによるハーバード大学カーペンターセンターにおける「創造的なメディアとしての光展」(1965)は、その準備であったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
MITにおけるケペシュの科学と芸術の融合の理論は、科学哲学者ジェイコブ・ブロノフスキーの影響が大きいと予想される。ブロノフスキーがイギリスへ移住し、BBC放送の科学番組を担当したことから、BBC放送局に残るブロノフスキーによる科学教育番組ほかの資料を調査し、彼の科学と芸術に共通の想像力に関する理論を分析する。その上で、ケペシュの理論と比較検討し、両者の関係を明らかにする。 1968年から1970年の宇宙時代における視覚芸術概念の変容について、フランク・マリーナを中心に雑誌Leonardoに発表された論文を精査を通じて解明する。その結果とケペシュの科学と芸術の融合理論との相関について分析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)