Project/Area Number |
23K00136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
福中 冬子 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (80591130)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 文化ナショナリズム / 戦前アメリカ合衆国 / 親共産思想 / 文化政策 / 合衆国 / 芸術音楽 |
Outline of Research at the Start |
20世紀初頭にかけて合衆国音楽家が直面したアメリカ「国民音楽」の樹立という課題は、主として、民謡の援用およびネイティヴ・アメリカンや「ニグロ」の文化の音楽的再現へと帰結した。他方、白系ロシア人の移入と第一次大戦後に加速した米欧間の文化移転は、多くの合衆国音楽家に「アメリカの」現代音楽の構築の必要性を認識させることとなった。本研究は音楽創作活動を文化ナショナリズム運動の一つとして捉えたうえで、それを一次資料の検証と新たな歴史記述概念(「national indifference」)の援用を通じて検証することで、自由社会における「芸術実践」と「国家」との関係性を新たな視座から再考察するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ禍に伴う影響等でしばらく差し控えていた海外渡航(学会1件、資料調査1件)が再開できたとともに、本題目に関係する先行研究の引き続きの読み進めやinvitation basisの執筆依頼を受けた研究論文への取り組みなど、多忙ながらも充実した年度となった。 10月には台湾(台南)で行われた国際音楽学会東アジア支部大会にて、発表を行った。1940年代日本の知的コミュニティーにおける文化とナショナリズムを巡るパネルを巡る研究で、本題目とは直接的な関係はないが、同じ「ナショナリズム」という傘のもと、ヨーロッパ「以外」の各国が、どのように自身の文化に対するある種の劣等感にも似た自負と、「ヨーロッパ文化=近代」という枠組みへの憧憬との間に存在する美的・文化的軋轢に対峙したのかという問いにおいては、本題目にとって大きな学びがあった研究である。 3月にはワシントンにある議会図書館音楽部門において資料調査を行った。本題目に関係する作曲家や批評家(とくに マーク・ブリッツステインとアーロン・コープランド)関係の一次資料をもとに、関係した人物の意図や動機をつなぎ合わせることでのみ、全体像が浮かび上がる本題目の性質上、今回の調査は非常に重要であった。今後はすみやかに調査結果をまとめ、今年度の日本音楽学会大会での発表を目指すつもりである。より具体的に言えば、社会主義国家における文化統制や文化・芸術の一元化とは異なり、合衆国のような「自由国家」においては、各民間文化・芸術団体が、どのような規制や規格化を敵とみなし、どのような困難さを感じながら活動を続けたのか、という問いに対する答えは、公的な文書や議事録を通じて明るみにでるものではない。そのような性格があるがゆえ、本題目に関わる作曲家等に関する資料を検証しつつ、ある意味において状況証拠を固めつつ推察を進めることが必要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まで海外渡航が不可能だったので、その意味では当初の予定から大きな軌道修正が必要となったが、今年度はコロナ禍後初の海外学会での発表ができたほか、海外資料調査を行うことができた。また、本題目と間接的に関係する原稿(海外論文集3本、海外事典項目1本、国内事典項目1本)に現在取り組んでおり、次年度にかけてそれらが成果として挙げられることとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、現在執筆中の5本の入稿を終える。それに加え、アメリカ、メリーランド州の国立公文書館にて、30年代から40年代にかけて、連邦政府の「監視下」にあった親共産思想を標榜した文化・芸術団体の活動の内容などに関する調査をするつもりである。
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