Project/Area Number |
23K00156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
栗田 秀法 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10367675)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | プッサン / シンクレティズム / ピュラモス / ティスベ / ナルキッソス / キリスト |
Outline of Research at the Start |
シンクレディズム(諸神混淆論)の観点から十分な研究がなされてこなかったニコラ・プッサンの晩年の神話主題の作品群を研究対象とし、とりわけ《ピュラモスとティスベのいる風景》(1651)、《バッコスの誕生》(1657)の前景に配置された死者の横臥像に役割に注目し、作品に込められた霊的意味とキリスト教的含意を明らかにするとともに、連作「四季」、《ダフネに恋するアポロ》を含むプッサン晩年の作品群の統合的理解に到達することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
所属が変わったとことと、体調の問題から予定したヨーロッパでの現地を控えざるを得なかったが、文献調査等から17世紀におけるシンクレディズム(諸神混淆論)の諸相について知識を深めることができ、ニコラ・プッサンの晩年の神話主題の作品群のうち、とりわけ《ピュラモスとティスベのいる風景》(1651)、《バッコスの誕生》(1657)の前景に配置された死者の横臥像に役割や作品に込められた霊的意味とキリスト教的含意を明らかにするための手がかりをいくつか見出すことができた。 中心的な研究対象とする作品《ピュラモスとティスベのいる嵐の風景》(1651年、フランクフルト、シュテーデル美術館蔵)については図像研究を進めて論考としてまとめることができ、次年度の研究のための礎を築くことができた。そこでは、本格的な解釈に先立つ予備的考察の一環として、第一に典拠となったオウィディウス『変身物語』巻4に関する17世紀の仏訳テキスト、それに付随する寓意的解釈のテキストを洗い出す作業を行い、並行して同主題の先行作例の収集の作業と図像学的な考察を行った。その結果、ピュラモスとティスベの図像はおおよそ六つの類型に分類が可能であることが判明し、5番目の「ティスベの自害」が最も作例が多いのにもかかわらず、プッサンは4番目の「ティスベの死せるピュラモスの発見」を選択しており、その意図や意義を探る必要が浮かび上がった。また、プッサンの作品の特徴としてピュラモスが大量の血を流していることが観察できるが、先行作例の比較からは極めて珍しい特徴であることが判明した。 さらに関連する論考も2件まとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヨーロッパにおける現地調査はできなかったが、必要な文献資料の収集は大きく進んだ。中心的な研究対象とする作品について図像研究を進めて論考としてまとめ、次年度の研究のための礎を築くことができた。また、関連する論考も2件まとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はヨーロッパにおける作品実見調査、文献調査、関連遺物の現地調査を行い、仮説の補強を行う作業を遂行したい。併せて必要な文献資料の収集も継続する。さらに研究対象とする作品について、現在主流となっている解釈を批判的にまとめる論考を執筆し、本論の発表へとつなげていきたい。
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