Project/Area Number |
23K00175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 有希子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (40746236)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 法隆寺 / 聖徳太子 / 毘沙門天 / 生身 / 舎利 / 四天王寺 / 広隆寺 / 日宋仏教文化交流 / 舎利信仰 / 生身像 |
Outline of Research at the Start |
奈良・法隆寺の仏教美術作品については、美術史学で多数の先行研究がある。しかし、11世紀から12世紀に制作された作品には制作年代が判明する基準作例が多いにも関わらず、研究は停滞気味である。とくに仏教美術史で近年注目されている五代・北宋仏教文化の受容関係については、ほとんど説明されてこなかった。本研究の目的は、11から12世紀の法隆寺における仏教美術作品の比較を通して、造形の特質と制作背景を日宋仏教文化交流史の観点から明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、11世紀から12世紀の法隆寺における仏教美術作品の比較を通して、造形の特質と制作背景を日宋仏教文化交流史の観点から明らかにすることである。今年度の研究実績は以下の通りである。 2023年度は、以下の論文および作品解説を執筆した。1.「聖徳太子と毘沙門天 ー日宋仏教文化との関わりー」『アジア仏教美術論集 東アジアⅦ』中央公論美術出版、2023年12月。 2.「[表紙解説] 毘沙門天立像 奈良県・法隆寺蔵 金堂安置」『仏教芸術』12号、2024年3月。 口頭発表は以下のものを行った。1.「毘沙門天霊験譚と造像に見る超現実 ―史実と伝説のはざま―」東岳美術史学会(韓国)、於韓国国立中央博物館、 2023年6月3日。2.「11-12世紀の法隆寺における信仰と美術 -聖霊院聖徳太子像を中心に-」、日本仏教綜合研究学会大会、於龍谷大学、2023年12月17日。 調査としては、国内では2023年9月に法隆寺金堂で熟覧調査、2024年3月に東京文化財研究所で写真資料調査を行った。また、海外では台湾・台北故宮博物院で大理国梵像図巻の熟覧、カンボジア・アンコール遺跡でバプーオン期の遺跡調査、韓国・僧伽寺での僧伽大師像の熟覧・撮影などを行い、主に「生身像」に着目して同時代作品の東アジアにおける作例の調査を行った。 今年度は、主に聖徳太子図像に添加された毘沙門天像、および聖徳太子像の生身化に注目して調査及び考察を行った。11-12世紀の法隆寺の状況については、四天王寺との対立関係が従来主張されてきたが、近年はそれを積極的には認めない意見もある。美術作品の制作についても対立関係が及ぼした影響が認められるのかどうか、今後各寺院の作例から比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展している。上に述べたように、2023年度は論文一報、作品解説一報、国内学会発表一件、国際学会発表(招待)一件という研究成果を上げることができた。また、covid-19の感染状況が落ち着いたことで海外渡航が可能になったことにより、アジア圏での現地調査も可能になった。それにより、いままであまり注目されてこなかったが、東アジア文化圏で生身像が流行していたことを知ることができ、従来よりも広い視野で聖徳太子像の生身化について再考するきっかけを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究主題と関係する国内作品、すなわち法隆寺聖徳太子童形像(1069年、信貴山僧円快作)、聖徳太子絵伝(1069年、秦致貞筆。現東京国立博物館蔵)、法隆寺金堂毘沙門天・吉祥天像(1078年)、勝鬘経講讃図(法隆寺所蔵の三幅、及び斑鳩寺、四天王寺本、一心寺本、宝厳寺本等の同主題作品)、広隆寺上宮王院聖徳太子像(1120年)、法隆寺聖霊院聖徳太子像(1121年)、金銅舎利塔(献納宝物)(1138年)等の調査研究を引き続き進める。 この時期に四天王寺と法隆寺の対立構造が激化しており、それが造形や図像選択にも影響したという示唆を令和5年度に得られた。しかし近年ではその見方を相対化する意見も出されているため、文献資料を中心に寺院間の「対立」関係にも注目し、その観点からも四天王寺や関連寺院で制作された作品と法隆寺作品との比較を行う。 また、インドでの海外調査を開始する。インドのボードガヤーで発見され、コルカタのインド博物館に所蔵される宋代の訪天僧侶が制作した碑石の調査、また10-11世紀頃の遺跡・作品を中心に調査を行う。そのほか、令和5年度の調査研究で手がかりが得られた、聖徳太子像の生身化流行の端緒が9-11世紀頃のインドおよび東南アジアにあるのではないか、という仮説を検証するためにカンボジア・プノンペン国立博物館などでの調査も行う予定である。
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