Project/Area Number |
23K00181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西林 孝浩 立命館大学, 文学部, 教授 (90388083)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 仏教美術史 / 中国美術史 / 東洋美術史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中国南北朝時代のうち、北朝後期(534~580年)の仏教美術を主たる対象とする。 ギョウ城や長安城の石像作例、山西省や甘肅省の壁画作例など最新の発掘成果や公開資料に基づき、銘文解釈や儀礼など仏教史の研究進展を踏まえつつ、尊像や変相図といった主題について、図像の意味や機能を明らかにする。 更に、墓葬美術および周辺地域美術との連関性も視野に入れ、各図像の成立背景、芸術理論・画史の記述と時代様式・画家個人様式との照合作業、北朝の各政治権力やインド方面からの伝播経路などの分析を通じ、従来の言説の問題点を検証・解体した上で、北朝後期仏教美術の再構築を行い、東洋美術史上の意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
4年計画の第1目となる2023年度は、12月に韓国へ出張し、ソウル国立中央博物館での特別展“Tree & Serpent: Early Buddhist Art in India,200 BCE-400CE”(同年に米国メトロポリタン美術館で開催された特別展の巡回展)での資料収集を行った。この海外出張は当初の予定にはなかったものだが、本研究計画の検討課題の一つであるインド美術における樹木・聖樹表現の中国北朝後期仏教美術との連関性に関わって、今回の特別展では、インド関連の作例が、最新の発掘成果も含めて数多く展示されていたため、急遽、今年度の資料収集として組み込むこととした。メトロポリタン美術館にて編纂された同展の図録も入手し、最新の知見が豊富に盛り込まれたかかる書籍と展覧会での実物観察により、効率的に資料収集を行うことが出来た。 また、中国の北朝後期仏教美術の主題を検討する上での基礎作業として、それらと関連性の深い南北朝時代の墓葬美術における樹下人物像の壁画作例について、図像学的立場に基づきつつ、過去に蓄積していた収集資料の整理と分類・分析を行った。この成果の一部については、所属研究機関で開催された国際ワークショップでの研究発表「屏風の中の内なる世界:韓休墓の墓室壁画における論理」(『東アジア美術の〈家〉領域における表と奥』立命館大学アート・リサーチセンター主催、11月16日)および論文「韓休墓考――墓室西壁壁画と墓室霊座の検討」(『中国美術史の眺望――中国美術研究会論集』曽布川寛・宇佐美文理編、汲古書院、2023年11月に収録)の中に盛り込み、公開している。 あわせて、『歴代名画記』など唐代の画史・画論に記載される北朝後期仏教美術関連資料の整理・検討を行った。この作業は、次年度以降も継続して行い、北朝後期に活動した画家の画題・様式検討の際にフィードバックされることとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の計画では、第1年目の2023年度に海外出張を予定していなかったが、「研究実績の概要」で述べた通り、12月に韓国ソウル市での資料収集を実施している。これについては、所属機関クラウド(ARCクラウド)への画像資料登録作業(アルバイト雇用)を2023年度分は保留することで、その出張費用を捻出した。よって、2023年度に予定していたクラウドへの画像登録作業については、研究代表者自身による画像資料の整理・分類までは、すでに一定量が完了しているものの、アルバイト雇用によるクラウドへの登録そのものが増加・進展していない。また、中国北朝後期仏教美術の主題に関する図像学的分析について、その成果の一部は、2023年度の研究発表および論文によって公開できたが、残りの研究成果については、分析と検討を進めているものの、まだその完成には至っていない。以上の進捗状況を総合的に判断して、「やや遅れている」とした。 ただし、次年度以降に予定していた海外出張による資料収集、とくにインドでの資料収集については、2023年度の海外出張での資料収集実施によって、先行して進展した部分も一定量ある。よって、本来、次年度以降に予定していた海外出張による資料収集分については、その一部軽減が可能である。 また、2023年度のクラウドへの画像資料登録の未了分については、次年度(2024年度)において、一定の作業進展が可能であるという見通しも持っている。 さらに、仏教美術主題に関する研究成果についても、そのうちの一部は、同じく2024年度中の公開を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
①海外出張……次年度(2024年度)については、海外出張による資料収集を予定している。すでに2023年度において、一定数のインド美術の資料収集が完了できたため、中国北朝後期仏教美術の検討に関わって、現時点での資料収集状況、および主な調査先として予定しているインドもしくは中国の状況、さらに近年の急激な円高状況や海外渡航航空券の高騰状況を踏まえ、より効果的な調査先と調査時期のタイミングについて、その柔軟な対応・運用策をふくめ、あらためて再検討し、調査先を絞り混むこととしたい。 ②画史・画論の資料収集と分析……2023年度に続き、2024年度も画史・画論の精読と分析を継続する。また仏教史関連の文献資料から北朝後期仏教美術関連の事項を抽出し、画史・画論との照合作業も実施することで、文献記述の立体的な把握に努めることとする。また、画史・画論に関わる研究書・注釈書の出版も、近年、中国語圏で相次いでいる状況を踏まえ、それら研究文献の網羅的収集も継続して実施する。 ③研究史の整理……これまでに収集している中国北朝後期仏教美術史に関わる論文・研究書をもとに、研究史・言説史の整理・分析作業を行う。合わせて、近年に公開された論文・研究書の収集も継続する。 ④主題の検討と研究成果公開……2023年度に蓄積した中国北朝後期仏教美術の図像学的分析を継承しつつ、その検討を継続し、それらの成果の一部を2024年度中に公開する予定である。 ⑤クラウドへの資料登録……2023年度の未了分とあわせ、2024年度中に一定量のクラウドへの画像資料登録を進めることとする。
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