Project/Area Number |
23K00191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
輪島 裕介 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50609500)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 近代音曲 / 道頓堀ジャズ / 服部良一 / 笠置シヅ子 / 盆踊り / 民謡 / ヴァナキュラー音楽 / 歌舞音曲 / 上演 / 興行 / 実演 |
Outline of Research at the Start |
公的な制度や権威による正統化を必要としない日常的で娯楽的な歌や楽器演奏や踊りの実践を「ヴァナキュラー音楽」と捉え、近代日本におけるその実践の場について、1)大道、2)寄席・劇場、3)盆踊り、4)ダンスホール、ナイトクラブ、ディスコ、カラオケという事例群を交差させて研究する。明治以前からの連続性と、ジャンルや国境を跨ぎ越す越境性の双方に注目し、現代の実践者とその歴史意識を重視する。併せて、「音楽」「歌舞音曲」「鳴物」などの語彙の批判的再検討を行う。事例研究と概念史の接続を通じて、従来自明視されてきた「洋楽受容史」の立場を乗り越える新たな近代日本音楽史の記述方法の可能性を模索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
歌手/女優の笠置シヅ子と作曲家の服部良一の経歴を、概ね1920年代から50年代の大阪及び東京の実演文化とそれを支える興行システムに着目して論じる著書『昭和ブギウギ』を上梓した。近代日本(とりわけ大阪)のヴァナキュラーな音楽・芸能を「近代音曲」として概念化し、演芸・芸能・芸術といった既存の領域区分を越える、総体的かつ相関的な文化史記述の可能性を探求した。特に服部良一が自伝の中で比喩的に提起した「道頓堀ジャズ」という概念を、具体的な歴史的文脈の中に置き直し、1920-30年代の世界的な大衆文化の勃興やそれを支えた技術やイデオロギーとの相関の中で意味づけることを試みた。 著作の刊行と関連して、大阪大学中之島芸術センターで展示「笠置シヅ子と服部良一:花開く大阪音曲」を企画し、講演及びジャズ演奏とダンス指導を含む実演イベントを開催した。そこでは、実証的な歴史研究と、過去の正確な復元とその現代的アップデートをともに含む新たな実践の場を創出することを試みた。 加えて、近年進行している盆踊りの現代化に関して、東京・墨田区で開催された「すみゆめ踊月夜」のフィールドワークを行い、中心的な組織者である岸野雄一氏との対話を行った。また、そうした新たな盆踊りのばとも結びついて日本民謡の現代的解釈を積極的に行う中西レモン氏、すずめのティアーズ(佐藤みゆき氏、あがさ氏)の活動に関する調査も継続的に行っている。 さらに、大阪と東京の代表的なちんどん屋実践者を招いたワークショップを開催し、路上の音楽実践についての考察を深めた。アフリカ各地と鹿児島の民謡の融合を試みる親指ピアノ奏者サカキ・マンゴー氏の講演と実演のワークショップを開催し、国境や地域を跨いだローカルかつヴァナキュラーな音楽実践のありかたについて知見を得、思索を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単著を刊行できたことはきわめて大きな成果であり、大阪と東京の実演文化の歴史と現状の理解は大いに進んだ。また、盆踊りの現代化に関する研究も順調に進展している。 実演と学術的議論をともに含むワークショップを、多様な内容で、しかも複数回開催できたことも十分な成果と言える。 反面、当初予定していた東京・大阪以外の場所の上演文化に関する調査は必ずしも十分に進展したとはいえないため、全体としては、「おおむね順調に進展している」と自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実践の場の調査と、実演を伴う学術的イベントの開催を並行して行ってゆく。 初年度のフィールド調査や対話、あるいはワークショップ開催などを通じて得た知見を、学会発表・論文・著作といった学術的な成果物としてまとめてゆく作業をすすめる。 2024年度は、年度初めの時点で韓国、フランス、オランダでの招待講演及び研究発表が予定されており、そこで、プロジェクト前半の成果をまとめる予定である。
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