触察教育のための「さわる絵本」の研究および制作プログラムの開発・実践
Project/Area Number |
23K00217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
古屋 祥子 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (50557824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武末 裕子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10636145)
大内 進 星美学園短期大学, 日伊総合研究所, 客員研究員 (40321591)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | さわる絵本 / 触察 / 美術教育 / イタリア / 盲学校 / 触覚教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究では「さわる絵本」という教材に着目し、触覚を活用する鑑賞の方法や制作スタイルを通し、過度の視覚偏重型表現からの脱却や障害者理解に繋げていく絵本を制作すること、またその制作プログラムの構築を目的としている。 主に、先進的なさわる絵本の取り組みが豊富なイタリアの事例の調査を行い、紹介するとともに、日本におけるさわる絵本の活用に関する調査を通して知見を集約し、さわる絵本の教材としての可能性を明らかにする。 また、さわる絵本の制作プログラムを大学教育現場等で実践し、触覚教育の重要性を伝えていくことで、深い相互理解教育やSTEAM教育が実践できる人材の育成・輩出に活用していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「さわる絵本」という教材に着目し、触覚を活用する鑑賞の方法や制作スタイルを通し、視覚偏重型表現からの脱却や障害者理解に繋げていく絵本を制作すること、またその制作プログラムの構築を目的としている。本年度は、先進的なさわる絵本の取り組みが豊富なイタリアの事例調査と、これを国内外で紹介する活動、また、さわる絵本の創作において研究を進めることができた。 イタリアにおける調査については、代表者、分担者それぞれにボローニャやローマなどの関係機関や絵本作家を訪問し、資料や情報を収集した。10月にボローニャで開催されたイタリアさわる絵本コンクールTocca a te!のイベントでは、分担者は口頭発表を行い、代表者は出品絵本が入賞したため受賞式に参加した。 7月には、イタリア全国視覚障害者支援施設連盟においてさわる絵本の制作・発行を中心的に担っている人物を板橋区立美術館の協力のもと日本に招き、講演会とワークショップを実施した。盲学校小学部児童を対象とした回では、さわりながら絵本の読書を楽しんだあと、その続きを様々な素材を用いて制作する活動が行われ、参加した児童の個性が反映された制作物が出来上がった。関係者や保育・教育系の大学生対象の回では、イタリアにおける活動の現況や制作している絵本の特徴などの紹介がなされ、麻ひもを用いた楽しさと深みのある活動を通して、さわる絵本の魅力や効果を発信する機会となった。 10~11月には「ふれてみる展覧会」においてふれる絵本の企画コーナーを設け、上記ワークショップ成果物やイタリアのさわる絵本を展示した。日本語や中国語への翻訳、点訳を用意するなどの工夫を行い、日本(来場者513名)と台湾2か所(来場者727名)の3会場で開催した。さらに、2024年1月~3月には山梨県内の大学図書館・盲学校の3会場で絵本の企画展を実施した。 上記の研究成果は年度報告書にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で、先進的なさわる絵本の取り組みが豊富なイタリアの事例の調査を行い、日本に紹介するとともに、視覚に偏りすぎない表現の追及や障害者理解に繋がる絵本づくり、またその制作プログラムの構築を目指している。同時に日本におけるさわる絵本の活用に関する調査を通して知見を集約し、さわる絵本の教材としての可能性を明らかにする。 本年度は1年目ではあるが、さわる絵本についての調査を国内・海外で進め、主にイタリアにおけるさわる絵本の状況について把握し、先駆的な取り組みを国内と台湾で紹介することができた。国内外の関係者や研究者、絵本作家との交流も継続的に持つことができ、情報交換やより良い教材づくりに向けた話し合いができる環境も整いつつある。 さわる絵本の制作についても、第7回イタリアさわる絵本コンクールTocca a te!へ代表者、分担者それぞれに応募し、代表者の制作した絵本「Quello che voglio toccare」が最優秀アーティスト賞を受賞するという成果をあげることができた。これを機会に今後も視覚障害の当事者や関係者、専門家などと検証を進め、改良点など問題を明らかにし、大学生などの制作プログラムに反映していきたい。 上記の研究成果は年度報告書にまとめ、関係者等に公開して触察教育の効果について発信している。 また、日本におけるさわる絵本の活用に関する実態調査については、盲学校を対象にアンケート実施の準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前年度に引き続き、国内外のさわる絵本に関する調査を進め、その内容を紹介する機会を企画する。具体的には、さわる絵本への理解を深めるオンライン連続講座の開催を6月から10月に予定する。内容は次の全5回。第1回「さわる絵本とは」ゲスト講師:攪上久子氏。日本のさわる絵本の歴史や現状、世界の事例紹介。第2回「イタリア『さわる絵本マニュアル書』紹介講座」著者をゲストに書籍の内容や制作方法の基本を解説。第3回「絵本作家たちへのインタビュー形式の講座パート1」イタリアの作家3~4名による自作の紹介。第4回「イタリア全国視覚障害者支援施設連盟の活動紹介講座」さわる絵本の制作やそのほかの支援企画を紹介。第5回「絵本作家たちへのインタビュー形式の講座パート2」イタリアの作家3~4名による自作の紹介。実施内容は記録に取り、報告書にまとめていく。 同時に、6月から保育・教育系の大学生を対象にした「さわる絵本作り」を実践し、その内容について検証を重ね、制作プログラムを構築していく。 9月から10月には「ふれてみる展覧会」(日本、台湾)におけるさわる絵本の展示を企画・実施し、研究成果の発表と検証を行う。 また、前年度後半から参加している国内の絵本作家たちによる勉強会に引き続き参加してその内容をまとめ、さわる絵本を制作する人材育成のための資料作りを行う。 国内における調査では、盲学校におけるさわる絵本の活用状況や、視覚障害者に対するニーズを明らかにして、教材制作や活用方法検討に反映していく。 海外における調査では、さわる絵本国際コンテストTpyhlo&Tactusno2024年大会の様子や、イタリアをはじめ台湾、スペイン、イギリス、アメリカ、フランスなどのさわる絵本に関する状況把握も視野に入れ、最終年度の報告にまとめていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)