Project/Area Number |
23K00272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
馬場 美佳 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (90405548)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 森田思軒 / 明治文学 / 新聞小説 / 翻訳文学 / 郵便報知新聞 / 徳富蘇峰 / 改良新聞小説 / 翻訳原著調査 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本近代文学黎明期の主要な文学者たちが新聞編集の場に社員・社友として携わっていた事実に着目し、このことが明治期文学の特性をどのように形作ったのかを検証するものである。とくに『郵便報知新聞』の新聞改革のために外遊し、帰朝後に活躍した森田思軒を軸にして研究を行う。思軒は翻訳家として著名だが、当時、新聞編集能力がその文学思想と共に高く評価されており、いわば新聞と文学の牽引者でもあった。岡山県笠岡市立図書館等に寄託されている思軒関連書簡の調査を行い、新聞編集と文学の関係の実態をより具体的に解明し、日本文学の近代化の過程に存在した多様な可能性を学際的・国際的な観点も加えつつ再評価していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請時の計画にそって、初年度の研究実績を報告する。 ①森田思軒関連書簡の調査:岡山県笠岡市に寄託されている森田思軒関係書簡(白石家所蔵)につき現地調査を実施した。報知社の編集局関連の書簡をはじめ、『郵便報知新聞』に連載された新聞小説の書籍化にかかわった出版社からの書簡・葉書をを中心に写真撮影し、翻字作業を進めた。とくに後者については成果を踏まえて論文執筆を開始している。また、他機関所蔵の思軒書簡に関して、たとえば徳富蘇峰記念館および早稲田大学図書館所蔵の書簡についても調査をすすめ、内容の精査を行ったところである。 ②森田思軒及び関係文学者と新聞編集の関係についての考察と「改良新聞小説」の実態解明:上記①の作業と関連するが、思軒が名目ともに『郵便報知新聞』の編集の中心となった主筆期間の明治23-24年について、さらに『国会』新聞に関わるようになった明治26-28年について、編集局・活版所とのやりとりがわかるものについて書簡調査を実施した。 ③森田思軒訳および黒岩涙香訳の作品についての原著の解明:思軒の『郵便報知新聞』に掲載された原著不明作の調査を前課題から継続して実施し、今年度新たに1作の原著が明らかになった(「定数」=Justin Huntly McCarthy「Doom! an Atlantic episode」)。これは思軒が渡欧中に船中で読んだ航海小説だが、文体改良に関する文章「日本文章の将来」と関わるものと位置付けられる点でも注目される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した①②については、書簡数が大変に多いため、写真撮影および翻字作業に想定以上の時間が必要となっている。このため撮影対象を絞って進めることで、すみやかに論文等による成果発表につなげるよう努力している。 ③については、書簡調査初年度につき、国内調査を優先して予算を執行したため、海外研究ができていないことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も今年度同様に書簡調査を進めていく。新聞における小説掲載とその書籍としての刊行の流れなど、具体的な新聞編集・出版に関する様相が見出せるよう、テーマをより絞っていく予定である。 また可能であれば、重要な書簡などの情報を翻刻などのかたちで成果発表できればと考えている。 原著不明作の調査については、海外調査を実施したいと考えているが、国内調査の進捗次第となるため予算の使用状況を勘案して執行していく予定である。
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