Project/Area Number |
23K00331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
富原 カンナ 九州共立大学, 共通教育センター, 研究員 (60791572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真理 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (20573504)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 山上憶良 / 漢籍受容 / 直接の出典 / 修辞技法 / 仏教受容 / 漢語の対句 |
Outline of Research at the Start |
山上憶良の研究では漢籍の出典考証は重要な礎をなす。従来、原典や事項別に編纂された『藝文類聚』等の類書が重視されたが、実際の憶良の用語と異なる語句が「出典」として示される例が多い。憶良は、原典から派生し、かつ類書等の体系的書物でもなく、もっと簡便に利用された書物(仏教の要集・教学書等)や、実用的な用途で記された資料(墓誌や願文等)から材を得た可能性が高いと考えられる。本研究は従来の出典考証を修正し、憶良の用語と同じ語句を以て「直接の出典」と見做し、原典の語から変遷した過程の究明を目的とする。特に変遷過程のどの段階の語句を摂取したかという検証により、憶良の中国思想、仏教教義の理解の解明を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、山上憶良の漢語の出典について、語句自体の受容を第一義として挙げ、原典の語句が中国で享受される中で変遷した過程を考察するものである。憶良の用語の語形・意味の一致した語句を以て「直接の出典」と見做し、考察するとともに、一つの書物の語に限るのではなく、当時広汎に利用された書物に見える類似の語をも吟味し、当時の漢籍受容の様相を広く捉えることも視座にすえる。具体的には、憶良の漢籍語について、①原典(もともとの出典)、②「直接の出典」(憶良が直接に拠った出典)を考証し、さらに③広く利用された書物に掲載された語をも検証し、これらの考察の成果をまとめることを目的とする。 このような観点のもと、まずは憶良の「日本挽歌」の前置漢文、「令反惑情歌」序、および「敬和為熊凝述其志歌六首」序の漢語を中心に、研究協力者と分担して出典考証を行い、また「好去好来歌」の倭語における漢籍の影響の考察をなした。 考察を進めるなかで、憶良の用いた仏教語、また仏教語の使われ方より、憶良の参照した仏教関係書を示唆し得るのではないか、という見通しが得られ、この点に留意して考察を進めている。また、漢語の用法を考える上では、対句等の修辞技法および文体の問題を併せて考える必要があり、研究会において発表、質疑、協議をなしつつ考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出典研究をドライブ管理にて分担して進め、オンラインでの研究会を月に1回程度の頻度の開催して経過報告、意見交換を行うことができた。初年度は、出典考証に専念した研究課題の推進に努め、その過程で得られた成果を学会誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、憶良の漢籍語について、原典と直接の出典の解明、という観点より考察を進めていく。出典考証を進める中で、コンピュータ検索によって相当の利便が得られる状況において、出典を示すだけでなく、上代人がどのような意識で漢籍語を表したか、という表現性を踏まえて考察する重要性が増しているという問題意識を深めた。また本文の漢文について、諸注釈の訓読が定まっていない点が改めて問題とされ、対句、語意を踏まえた上でより適切な訓を確定する必要が認識された。 こうした研究課題の解明に向けて、今後も研究会を設けて検討を進めるとともに、研究成果を学会発表、論文等で広く公表・公刊する予定である。
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