Project/Area Number |
23K00340
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
|
Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
赤松 美和子 (佐藤美和子) 大妻女子大学, 比較文化学部, 教授 (00510653)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 台湾 / 白色テロ / 移行期正義 / 台湾文学 / 台湾映画 / 民主化 / 歴史記憶 / 表象文化 |
Outline of Research at the Start |
台湾では、白色テロ期(1947-87年)に、言論の自由が厳しく制限され、政治犯とされた多くの人々が投獄、処刑された。白色テロは、80-90年代にかけて文学や映画に描かれ、負の歴史として記憶化されてきた。だが2017年の移行期正義促進条例公布以降、エンターテイメントの素材となり、重要な台湾文化表象だとみなされていく。 白色テロのような「負」の歴史を、「正」なる台湾文化表象へと変換していくことの社会的意義、文化的意義とその手法、およびポリティクスを論理的に解明し、白色テロの再記憶化への影響を、世代間比較も含め、体系的に整理する。東アジアにおける近現代史への向き合い方を考えるうえでの参照例としたい。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023度は初年度のため、資料収集、学会、シンポジウム、研究会報告などを中心に行った。 赤松美和子は、九州大学で開催された国際教育フォーラム「台南を歩く、台湾を考える―台湾教育旅行の構想と実践」において「台湾研究の知見を大学から社会へ-台南という視座の重要性」と題した講演、11月に東方学会で「李昂『夫殺し』から陳思宏『亡霊の地』へ―台湾郷土文学におけるフェミニズムとLGBTQ文学の連帯―」と題した報告、12月に九州大学 第七回 台湾事情 (Taiwan Today) 「建築・文学から探る「台湾史」との向き合い方」において「台湾文学最前線ー白色テロ・フェミニズム・LGBTQ+」 と題した報告を行い、移行期正義条例以降の台湾文学における白色テロ表象について考察した。また、台湾の国家人権博物館などで資料収集、インタビュー調査を行った。 研究協力者の垂水千恵は、『跨境/日本語文学研究』第17号に「想ふまゝに」を寄稿したほか、台湾において講演、資料収集、意見交換を行った。 同じく研究協力者の郭書瑜は、11月に台湾の国立中山大学で開催された「國際秩序的衝撃和民主政治的挑戰」國際學術研討會において「70 年代日本台灣政治犯救援運動:「台灣政治犯救援會」成立之始末」と題した報告、2024年1月に北海道大学で開催されたシンポジウム「 東アジア平和国際学術会議―東アジアにおけるトランスナショナルな人権運動の連帯」において「台湾の民主化運動における越境的連帯:1978 年「台湾における選挙不正 を監視する国際委員会」の企画経緯を中心に」 について報告を行った。さらに、台北において、映画『流麻溝十五号』関係者のインタビュー調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、初年度のため、論文や書籍など成果物を公刊することはできなかったが、学会発表、シンポジウム発表、インタビュー調査、資料の収集などを通じて、2024年度以降に成果を公刊していくための礎を築くことができたため、おおむね順調に計画が進展しているといってよいのではないかと思う。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に行った資料収集やインタビューを、研究成果につなげていくべく、2023年度に行った学会報告、シンポジウム報告を、論文や書籍など成果物として公刊できるように積極的に準備していく。 移行期正義条例以降の白色テロ表象を台湾の文化表象の一つとして分析する本研究にとって重要な作品である映画『流麻溝十五号』の日本公開が、2024年7月に決まったため、2024年度は、本作を中心に、台湾表象としての白色テロの再記憶化について研究発表を行い、次年度の成果にもつなげていきたい。 また移行期正義条例以降の白色テロ表象については、2024年5月号の文芸雑誌『INK 印刻』が白色テロ特集を組むなど台湾文学においても関心の高いテーマであるため、台湾の研究者の視点からの台湾表象のポリティクスとその変遷についての最新の研究や資料にも留意すべく、引き続き資料収集やインタビュー調査も行っていく予定である。
|