Project/Area Number |
23K00359
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐久間 千尋 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (70837236)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | シャーロット・ブロンテ / ジョージ・エリオット / 空間 / テクスト相関性 / 19世紀英文学 / ドイツ・ロマン主義文学 / ブロンテ姉妹 / 語りの構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ブロンテ姉妹の小説におけるドイツ・ロマン主義文学の諸相を明らかにし、言語および文化を超越した、ロマン主義小説の汎ヨーロッパ的系譜を再構築することを目的とする。ブロンテ姉妹が愛読していた雑誌を媒介とした影響関係に着目することにより、説得力のあるテクスト相関性を提示することを目指す。本研究の意義は、伝記的事実に基づいた調査と、語りの構造と空間の相互作用とテクスト分析を総合的に組み合わせることにより、ブロンテ姉妹の小説とドイツ・ロマン主義文学のテクスト相関性を明らかにし、18世紀から続くロマン主義小説の汎ヨーロッパ的系譜を再構築することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ビルドゥングスロマンの系譜に位置づけられるジョージ・エリオットの『フロス河畔の水車場』とシャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』を比較することにより、エリオットおよびブロンテの人物造型を新たな側面からとらえることを試みた。研究成果の一部を日本ジョージ・エリオット協会第26回全国大会において報告した。 エリオットが1848年6月、チャールズ・ブレイに宛てた手紙のなかで、『ジェーン ・エア』を賞賛しつつ「自己犠牲」に異を唱えた事実から、ブロンテがエリオットの人物造型に与えた影響を推し量ることができる。そこで、マギーとジェーンが人生において行う「選択」に着目して考察した。マギーが行う選択は、一見苦難への道のりであるが、あえて周囲を裏切る選択を行うことで、自身を抑圧し疎外する周囲に復讐を果たしたとみることもできるのではないか。洪水の中トムを迎えに行き、共に沈むことによって魔女ではないことを証明するという結末は、魔女と疑われたマギーによる逆転の魔女裁判を意味していると解釈できる。これはBernard J. Parisによる、マギーのスティーヴンとの関係性には無意識的なトムへの復讐願望があるという示唆を裏づけるものである。 水車場の崩壊は、マギーが雁字搦めにされていた共同体、いわゆる魔女裁判の法廷ともいえる場所の崩壊を示唆し、その再建は新たな共同体の再生を暗示する。マギーは自己犠牲をもって自己を他者として疎外する魔女狩りとの闘いに終止符を打ったといえる。一方、『ジェーン ・エア』においてバーサが自己犠牲によって自らの牢獄であるソーンフィールドを焼失させる結末には、迫害者のロチェスターに復讐を果たし、結果的に自らとジェーンを解き放った逆転の魔女裁判の構図を読みとれる。空間的観点から、エリオットは『ジェーン ・エア』の逆転の魔女裁判の構図を認識していた可能性を指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『ジェーン・エア』と『フロス河畔の水車場』を比較考察し、空間性の観点から両作品の主人公に関連性を見いだし、研究成果を所属学会において発表した。本研究成果はテクスト相関性の研究発展に寄与するものである。加えて、ブロンテのドイツ・ロマン主義文学との関係性についての調査も進めており、研究成果の一部を2024年度内に研究発表として報告する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
長期休業中に渡英し、Bronte Parsonage Museum and Libraryに保管されている資料の調査を実施する。一次資料の精読および先行研究の渉猟を継続して行い、ブロンテ姉妹とドイツ・ロマン主義の関係性についての研究成果を研究発表および論文にまとめ、公表する。
|