Project/Area Number |
23K00421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 千宏 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (80549551)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ピエール・ド・ロンサール / 『恋愛詩集』 / ニコラ・ドニゾ / マルク=アントワーヌ・ミュレ / ソネ / 抒情詩集 / エンブレム / エピグラム / 印刷本 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,印刷術が急速に普及した16世紀フランス・ルネサンス期において,詩人と出版者の緊密な協力のもと創り上げられた印刷本としての抒情詩集が,その扉,文字フォント,作品の配列から挿絵,帯飾りや目次に至るまでどのような意図のもとに構成され,また後の文学史にどのようなインパクトを与えたのかを明らかにすることである。具体的には,当時出版された抒情詩集の中でもとりわけエピグラム,ソネという2つの詩的形式そしてエンブレム集に注目する。これらが印刷本というメディア上で互いに密接に関係しながら変化を遂げる過程を追いつつ,「抒情詩集」という作品形態の文学史における意味を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
計画においてはこの期間には,レミ・ベローの作品『牧歌』の構造とその出版形態との関係を明らかにするとともに,ロンサールの『恋愛詩集』および彼が繰り返し発表した『作品集』の果たした役割について考察する予定であった。これまで『牧歌』や『恋愛詩集』に関しては多くの研究が行われてきたが,印刷本としての観点からの詳細な分析についてはまだ十分とはいえなかったからである。そこで初年度に取り上げ考察したのは、ロンサール『恋愛詩集』(1552-1553)において、挿絵となる肖像画を制作したと考えられているニコラ・ドニゾ(Nicolas Denisot, 1515-1559)である。ル・マン出身の詩人・画家のニコラ・ドニゾは、彼自身も数冊の詩集を出版しているが、『恋愛詩集』初版(1552)巻頭に挿入されたロンサールとカッサンドルの肖像画を制作したと考えられている 。今年度の研究は、ドニゾによって制作されたロンサールとカッサンドルの肖像、さらには『恋愛詩集』第2版に掲載されたマルク=アントワーヌ・ミュレ(『恋愛詩集』に注釈を加え、また曲を提供)の肖像画を検討し、さらにロンサールによって複数の詩で言及されたその表象を分析することで、この両者が組み合わされて、読者を現実と虚構の入り混じった『恋愛詩集』の世界、ロンサールを中心とした詩人、芸術家たちの牧歌的世界に招きいれる構造を成していることを明らかにした。こうした構造は同時代の書物においては画期的であったのではと考えらえるため、引き続き研究を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先にも述べた通り、計画においてはこの期間には,レミ・ベローの作品『牧歌』の構造とその出版形態との関係を明らかにするとともに,ロンサールの『恋愛詩集』および彼が繰り返し発表した『作品集』の果たした役割について考察する予定であった。ベローの『牧歌』にかんしての研究も継続中であり,ロンサール『恋愛詩集』についても,一定の成果を上げられているため,おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年はロンサールの生誕500周年に当たる。研究計画においては、本年、申請者が編集委員として関わる国際誌『ロンサール研究』(Revue des Amis de Ronsard)において交流のあるフランス,スイスの研究者に協力を要請し,フランス国立科学研究センターの1つIRCL(ルネサンス・古典・啓蒙時代研究所)やソルボンヌ大学を訪れ,研究発表・意見交換を行うと同時に,日本においてもロンサール生誕500周年を記念する国際学会を開催し,海外から研究者を招聘して日本の研究者との連携も図る予定であったが,すでに4月には研究者を招へいし、関連するテーマでの講演会を開催した。それ以外の計画についても現在進行中であるため、引き続き実現に向けて尽力していく。
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