Project/Area Number |
23K00434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
横山 香 奈良大学, 文学部, 教授 (70727750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 和子 大阪音楽大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60449577)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 女性作家 / 娯楽文学 / ドイツ帝政期 / ドイツ文学史 / ドイツ大衆文化 / 文学とジェンダー / ドイツ文学 |
Outline of Research at the Start |
19世紀末から20世紀初頭にドイツで活躍した女性の娯楽作家たち、とりわけ『ガルテンラウベ』Die Gartenlaubeに執筆していたマルリット(E. Marlitt)とその周辺のハイムブルク(Wilhelmine Heimburg)やヴェルナー(E. Werner)、その後に登場するクルツ=マーラー(Hedwig Courths-Mahler)らに焦点を当て、彼女らの生い立ちや人物像、作家活動と社会に与えた影響等について調査し、彼女らの作品を、時代的文脈に位置づけながら、いかに「時代精神」が表象されているかを分析することにより、ドイツ帝政期における女性作家の娯楽文学の諸相を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、19世紀末から20世紀初頭のドイツ・ヴィルヘルム帝政期における女性の娯楽文学作家の作品を、当時の歴史的、社会的状況における文化的テクストとして理解し分析することにより、ドイツ文学・文化史の空白部分を埋めることにある。具体的にはE. Marlitt, W. Heimburg, H. Courths-Mahlerといった女性娯楽文学作家らの代表的な作品を取り上げ、当時の社会規範や道徳的価値観、ジェンダーやセクシュアリティ観、政治的イデオロギーや階級意識などがいかに表象され、当時の社会や読者に対してどのような影響を与えたのかを考察するものである。 1年目にあたる2023年度は、一次資料の収集とアーカイブ化、作家のリスト化、分析する作家・作品の選定、文献資料の講読を研究実施目標とした。 8月にスイスおよびドイツへの調査旅行を実施した。ゾロトゥルンの「感傷的通俗文学資料館」およびライプツィヒとベルリンの図書館・古書店を訪問し、新聞、雑誌、単行本などの一次資料を収集し、当時人気を博していた女性作家らの出版状況を調査した。その際、貸本屋が顧客に配布していたカタログがきわめて重要な手がかりになると分かり、古書にて1910年代のカタログ2冊を入手し、娯楽文学の文献に名は出ないが、実際には人気があった作家を発掘することができた。 紙媒体で収集した資料は画像化し、さらに画像化された資料はテキスト化してデジタルアーカイブ化を進めた。ただし資料の収集・整理に時間がかかり、また、19世紀の女性娯楽文学作家に関する二次文献の絶対数が少ないこともあり、今後分析する作家の選定(研究代表者:N. von Eschstruth、研究分担者:W. Heimburg)と数作品の講読に留まり、作品の考察・分析までには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
8月の現地調査訪問では、当初予定していたCourths-Mahlerに関するネーブラの資料館や、ベルリン市立図書館における同作家のアーカイブを訪問・利用することができず、資料収集に関する計画の変更を強いられた。 また情報が乏しいなかで関連資料を探し出したり、資料のカメラ撮影やスキャンをして、データをデジタル化したりといった作業にも想定以上の労力と時間が必要であった。 さらに研究代表者は本務校にて海外研修(計画・実施・引率)というイレギュラーな業務に時間を取られ、研究分担者は重責をともなう校務が重なり、本研究のために集中して従事する十分な時間が取れなかったことも遅れの一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる2024年度は、当初の計画では、選定した作家についての調査と作品の考察および共同研究会による議論・検討となっている。 上述のように、1年目にやや遅れが生じ、研究対象とする作家について候補を出すに留まったため、まずは早急にそれぞれの作家の一次・二次資料の収集・講読を進め、作品の選定・講読と考察・分析を進める。 なお、8月末開催予定のゲルマニスティネンの会関西支部研究発表会にて研究成果発表をおこなう予定であり、これをもって夏季の共同研究会による議論・検討とする。また、同会の機関誌Flaschenpostへの投稿や、各大学の研究紀要への論文投稿に向けて準備をする。 さらに、最終年度の、当時の女性娯楽作家・作品についての包括的な考察と成果発表にむけて、個別の作家や作品だけではなく、周辺の作家・作品も含めた資料収集と講読を、研究代表者と研究分担者で協働しながら進めていく予定である。
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