Project/Area Number |
23K00435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹内 修一 北海道大学, 文学研究院, 教授 (40345244)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | カミュ / アルジェリア / 集合的記憶 / アルジェリア戦争 / 植民地 |
Outline of Research at the Start |
アルジェリアで育ち、この地を舞台とする小説『異邦人』や『ペスト』で知られる作家アルベール・カミュは、同時にレジスタンスの機関紙「コンバ」の編集長としてドイツからのパリ解放を告げたジャーナリストであり、『反抗的人間』でスターリン体制下のソ連邦を批判した左翼知識人でもあった。アルジェリア戦争がはじまると彼は休戦を呼びかけ、独立には最後まで反対の立場をとった。本研究は、このように多面的な活動を行ったカミュが、アルジェリア独立後のフランス人たちの集合的記憶に於いて、どのような位置を占めているのかを明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルジェリアで育ち、この地を舞台とする小説『異邦人』や『ペスト』で知られる作家アルベール・カミュは、同時にレジスタンスの機関紙「コンバ」の編集長としてドイツからのパリ解放を告げたジャーナリストであり、『反抗的人間』でスターリン体制下のソ連邦を批判した左翼知識人でもあった。アルジェリア戦争がはじまると彼は休戦を呼びかけ、独立には最後まで反対の立場をとった。本研究は、このように多面的な活動を行ったカミュが、アルジェリア独立後のフランス人たちの集合的記憶に於いて、どのような位置を占めているのかを明らかにしようとするものである。 初年度である2023年は、関連文献・資料を収集分析するとともに、研究発表と論文作成を行った。11月4日には、日本フランス語フランス文学会北海道東北支部大会で、「『ペスト』と記憶の政治」というタイトルで研究発表を行った。これはもちろんアルジェリア第二の都市オランを舞台とする小説『ペスト』に注目するものであるが、フランスにとってのアルジェリアと日本にとっての北海道が19世紀以来の最重要入植地である事実を指摘し、両者が比較できるものであることを示した。 12月末に、「モニュメントの運命:『ペスト』に於ける「記憶の場」」というタイトルの論文を『カミュ研究』誌に投降した。この論文は、仏領アルジェリアに設置されていたモニュメントが、現在フランス本土でどのように再利用されているかを明らかにしたものであり、2024年5月発行の同誌第16号に掲載される予定である。 なお、2024年2月末から3月にかけて、南仏の都市ペルピニャンとエクサンプロヴァンスを訪問し、アルジェリア関係のモニュメントや記念館およびアルジェリア戦争期にカミュが発表した文章の原稿を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南仏に於ける調査は、家族の急病のため、予定よりも短期間にせざるをえなかったが、近年設置された新たなモニュメントや記念館を調査して、フランスに於ける「仏領アルジェリアの記憶」の現在の状況を確認することができた。また、アルジェリア戦争期にカミュが発表した文章の原稿を調査することによって、新たな発見もあった。その一つは、「アルジェリアのフランス人もまた、言葉の強い意味に於いて、原住民である。」という名高い一文が、もともとの手書き原稿には存在せず、タイプ原稿を作成したあと、その横に手書きで書き加えられていたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、仏領アルジェリア(の記憶)をめぐる文献を収集し、アルジェリアが独立した後のフランスにおいて、この植民地と植民地独立戦争がどのように語られてきたのか、仏領アルジェリアを懐かしむ人々にとって、そして植民地化を批判し独立戦争を肯定する人々にとって、アルベール・カミュがどのような位置を占めているのかを分析する。なお、2023年2月末から3月に南仏で行った調査に関して、6月1日に明治大学で開催されるカミュ研究会例会に於いて、研究発表を行う予定である。
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