日本における古代ギリシア演劇の受容と世界的発信に関する実証的・実践的総合研究
Project/Area Number |
23K00439
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野津 寛 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (20402092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 斉 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60773851)
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80114437)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | ギリシア悲劇 / 西洋古典学 / 比較文学 / 古代ギリシア演劇 / 能 / 受容研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本における古代ギリシア・ローマ演劇の研究と受容・上演を西洋におけるそれらと比較・対照するものであり、研究・意見交換・デジタルアーカイブ化・研究成果の発信を国際的な場において英語ないし仏語で行うという特徴をもつ。この国際的比較と国際的な場での発表という二重に国際性を有する比較研究によって、日本の西洋古典学研究と古代ギリシア・ローマ演劇の受容・上演に存在する特徴と根本的な問題点を照射し、古代ギリシア演劇上演者の実際の活動に参画し、学生にギリシア悲劇を上演させるという実践的活動を通じて、日本の古代ギリシア・ローマ演劇の研究・教育と受容・上演が将来進むべき方向性を具体的に示唆する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当初の研究計画において予告された通り、近現代日本の古代ギリシア演劇研究および受容(翻訳、翻案、上演)の諸相を追究し、古代ギリシア演劇の研究および受容・上演が将来進むべき方向性を国際的かつ実践的な場で示唆するため、我々の過去2件の基盤研究(基盤(C)17K02590、基盤(C)20K00495)を発展的に継承しつつ、その完成を目指しているものである。これまでの気付きや知見をふまえ、また、あらたな研究成果を取り入れることにより、 (1) 「東京大学ギリシア悲劇研究会」関連の第1次資料のデジタルアーカイブ作成(完成) (担当:吉川)、(2) 近現代日本における古代ギリシア悲劇受容、特に上演の歴史に関する研究(担当:野津)、 (3) 儀礼に関する宗教学的・人類学的研究と、それをふまえた上演の実践(担当:葛西)、 (4) 古代ギリシア演劇を上演する演出家の活動への参画(担当:野津)という大きく 4 つの柱を設定し、研究を遂行中である。本年度、研究代表者の野津は近現代日本における上演記録の作成、Theatre E9における喜劇上演の実践を担当している。研究分担者の吉川は、東京大学ギリシア悲劇研究会データベースの制作を担当している。研究分担者の葛西は、儀礼と古代ギリシア演劇に関する宗教学的・人類学的な比較対照、ギリシア悲劇の上演の実践を担当している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 研究分担者の吉川は、シンポジウム「日本における戦後のギリシア悲劇の上演―東京大学ギリシア悲劇研究会から現在まで―」にて、"「ギリ研」と久保正彰先生" と題する発表を行った。資料を見直すなかで、「ギリ研」活動における久保正彰氏の重要性を再確認すると同時に、「ギリ研」的上演経験によって得られる問題意識は、現在なお古代ギリシア悲劇の理解を深めるために有効であろうことを共有した。また、吉川が担当する「ギリ研」アーカイブ作成は、まだ完成には至っていないが、順次作業を進めている状況である。 (2) (4) 研究代表者の野津は、わが国における古代ギリシア悲劇の受容と上演に関して包括的な共同研究を進めるにあたり、フランス人研究者 Maxime Pierre 氏と定期的に情報を交換しつつ、オックスフォードで "Project for a staging of the Acharnians in Japan” と題する発表を行った。 また、THEATRE E9 KYOTOにおいて、劇場の代表者である吾郷賢氏と共に『アカルナイの人々』の実験的な上演を行い、演劇のプロフェッショナルな活動とアカデミックな研究と具体的な橋渡しの試みを行った。 (3) 研究分担者の葛西は、古代ギリシア社会において判決(評決、仲裁裁定)が出た後、敗者はそれに従うかどうか、どのようにして従わせることができるかという問題をめぐり、夏季にオックスフォードで "The Losers at the arbitration and litigation in Ancient Greece, -Eumenides" と題する発表を、ケンブリッジとエディンバラでは"The Losers of the arbitration and litigation in Greek and Roman Law" と題する発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
吉川と野津は、(1) 東京大学ギリシア悲劇研究会(1958~1970)の上演活動に関わる第 1 次資料のデジタルアーカイブを完成し、同研究会公式HPとオンラインで連結し、Oxford大学の古代演劇上演デジタルアーカイブ(APGRD)を補完する。 野津はフランス人研究者との共同研究により、(2) わが国における古代ギリシア悲劇の受容と上演の活動全体が、能など日本固有の伝統演劇の諸要素の積極的活用の有無という根本的な選択の相違によって 2大類型に分類できるという認識にもとづき、受容と上演に関する網羅的研究を行い、その成果をフランス人研究協力者との共著で仏語で公開する。 葛西は、 (3) 現代に至る西洋人による古代ギリシア悲劇と能の比較研究について、儀礼的パフォーマンスと古代ギリシア演劇に関する宗教学的・人類学的な比較対照研究の伝統という、より普遍的な枠組みから捉え直し、学生による上演実践の試みを行いながら、改めて日本における研究 ・受容の在り方を問う。 野津は、(4) 吾郷賢氏(演出家・一般社団法人アーツシード京都代表理事・THEATRE E9 KYOTO 芸術監督)と共に、自身が翻訳したアリストパネス『アカルナイの人々』(岩波書店)を用いた上演の上演計画に参画しているが、この計画を継続し、完成することを目指す。葛西は、ギリシア悲劇に関して、エウメニデスの裁判シーンで、敗者(エウメニデス)を説得する場面をどう上演するかという問題に関して、実際に脚本を書くことによって考察をすすめる計画である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)