「不死」とは何か?―近現代ドイツ語圏文学にあらわれた死生観
Project/Area Number |
23K00441
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
由比 俊行 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (90737090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 哲哉 近畿大学, 経営学部, 准教授 (20567797)
藤原 美沙 京都女子大学, 文学部, 准教授 (20760044)
宇和川 雄 関西学院大学, 文学部, 教授 (30779385)
福岡 麻子 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (40566999)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 不死性 / 死生観 / 固有性 / 記憶 / ドイツ語圏文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、18世紀後半以降のドイツ語圏文学における「不死」の主題の分析をつうじて、文学にあらわれた多様な死生観を提示することを目的とするものである。本研究の前身となる一連の共同研究プロジェクトでは、ドイツ語圏文学における経済的交換・分身・複製などの主題を手がかりに、個の「かけがえのなさ」や「オリジナリティ」によって特徴づけられる近代的人間像がはらむ問題を批判的に検討した。この研究成果を引き継ぐ本研究では、人間の生と死の固有性をめぐる言説と「不死性」の観念との関係に焦点を当て、これまでの研究をより包括的な視点から総括することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、研究実施計画のとおり、研究代表者、研究分担者、研究協力者がそれぞれに資料収集と文献調査を行い、今後の研究活動の基盤となる知見の蓄積につとめた。 具体的には、由比(研究代表者)がゲーテの教養小説における「教養・自己形成」の理念と「不死」の観念の関係性について、森口(研究協力者)が18世紀から19世紀にかけてのヴァンパイアをめぐる言説についてそれぞれ調査を進め、1800年前後のドイツ語圏文学における「不死性」のテーマに取り組んだ。19世紀の文学における「不死性」というテーマに関しては、藤原(研究分担者)が、シュトルムの作品における「子どもの死」のモチーフを手がかりに考察を進めた。一方、世紀転換期における「不死性」については、熊谷(研究分担者)が、フロイトのテクストに繰り返し登場する死者の夢の記述に着目し、フロイトの思想と「不死」の観念との関連性を調査した。宇和川(研究分担者)は、19世紀末以降の「輸血」思想を参照しつつ、20世紀初頭の「身体の不死」をめぐる議論を問い直す方途を探った。1945年以後の文学と「不死性」のテーマに関しては、福岡(研究分担者)が、エルフリーデ・イェリネクの文学実践を手がかりに、文学によって死者の記憶を継承することの可能性と問題性について考察を進めた。 また、令和5年度に実施した2回のオンライン研究会合(2023年8月29日、2024年3月26日)では、上記個別研究の中間報告に加えて、多様な「不死」思想の類型的整理や歴史的変遷についても議論を交わし、メンバー間での問題意識の共有を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり、各メンバーの個別研究はおおむね順調に進展しており、予定していた研究会合も滞りなく実施された。研究会合での議論、メール等によるメンバー間の相互連絡をつうじて、研究テーマについて一定の問題意識を共有することができている。研究に必要な資料の収集もおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、初年度の個別研究で得られた知見にもとづき、各メンバーが所属学会での研究発表を行う。また、国内外での資料収集および文献調査を継続するとともに、引き続き2回の研究会合を開き、最終年度に開催予定のシンポジウムについて議論を深める。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)