The Japanese Occupation Ages through Burmese Nonfiction Literature~Considering from the Historical Changes after the War
Project/Area Number |
23K00455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南田 みどり 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (80116144)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2027: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 日本占領期ビルマ / 現代ビルマの長編小説 / ビルマ社会主義と文学 / 日本人の形象化 / 軍事政権とビルマ文学 / フィクションとノンフィクション / 作家の記録する日本占領期 / 文学における史実の再編 / ミャンマー現代史 / ビルマ現代文学 / 日本占領期 / ノンフィクション文学 / 軍事政権 |
Outline of Research at the Start |
既に日本占領期(1942-45)ビルマで出版された小説、ならびに戦後に出版された日本占領期関連小説の全体像を明らかにしてきたが、小説の書き手たちの中に、旅行記、日記、体験記などを書き残した者も少なからず存在することが判明したため、それらノンフィクション文学を精査することにした。それらの文学界における作品評価を確認し、続いて、作品に叙述された歴史的事項を再確認し、史実に照らし合わせて歴史的意義をも検討する。小説世界では、ビルマ式社会主義という名の軍事独裁政権の言論統制下で、抗日統一戦線を巡る歴史的事実が歪曲される事態が生じており、同様の傾向がノンフィクション文学にも見られたか否か考察を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミャンマー連邦共和国において、蓄積が十分とは言えない日本占領期文学の研究の中で、戦後出版されたビルマ語ノンフィクション文学をとりあげる。筆者はすでに、日本占領期を扱ったビルマ語小説について、長編を中心に、1945年から現代に至るその年代的特徴と変遷を社会的動向から明らかにしてきた。今年度はそれらに加え、1980年から2020年に至る日本占領期関係ビルマ小説の40年を総括して、ノンフィクション文学の動向を探る総合的な礎のひとつとした。 日本占領期の作家・出版関係者による日本占領期に関するノンフィクション文学についての研究は、ミャンマー国内に網羅的概説は存在するが、文学史上の位置づけは十分なものとなりえていない。作家テインペーミンの抗日活動関係のノンフィクションに関する筆者の業績が、内外においてこの分野では初の踏み込んだ研究であるが、さらに対象とする作家を広げるべく、ノンフィクション作品収集に努めた。 本研究の第一の課題は、日本占領期の作家・出版関係者のノンフィクション作品収集を継続して、それらを精査し、文学界における作品評価を確認することである。 第二の課題は、作品に叙述された歴史的事実の確認である。とりわけ、小説の世界では、ビルマ式社会主義という名の軍事官僚独裁政権の言論統制下で、抗日統一戦線をめぐる歴史的事実が歪曲される現象が見られたが、同様の事態が、ノンフィクションの世界にも生じたか否かを明らかにすることが重要となる。 上記の作業の中で、ビルマ文学に現れたミャンマー人の対日観の一端を探ることも付随的課題となる。 研究期間を第一期予備的考察期、第二期時代別考察期、第三期総括的考察期に分けた。今年度は予備的考察期に当たる。研究計画に従い、収集済みの資料を整理し、時代別に分類した。続いて文学関係者ならびに文学関係者以外の執筆者による作品リストも作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年2月の「国軍」による違法な政権簒奪後3年が経過した。現在国土の6割を民主派勢力が掌握しており、「国軍」による当該地域への空爆や焼き討ちも絶えない。当初予定していた現地における調査と資料収集は危険を伴うため自粛し、インターネットとSNSを駆使して、情報収集と聞き取り調査に努め、予想外の成果を得た。 収集済みの日本占領期関連ノンフィクション書籍を年代別に分類したところ、1940年代後半(1945-49)18点、1950年代10点、1960年代42点、1970年代12点、1980年代1点、1990年代3点、2000年代13点、2010年代5点合計104点となった。これを作家別に分類したところ、日本占領期に何らかの活動をなした作家の戦後におけるノンフィクション作品が少なからず見いだせた。 なお、その一人であるジャーネージョー・ママレーについては、ベストセラー『血の絆』の日本人像の特異性について、その日本人観との比較において踏み込んだ発表をすることが可能となった。 また、日本軍特務機関が創設したビルマ独立軍の末裔である「国軍」による非人道的戦争犯罪に関するミャンマー国内の情報をSNSから収集につとめ、動向日報を作成し、細心の注意を払いつつ文学関係者にネットで聞き取りを行い、日本占領期から現在の事態を照射する論説をまとめ、毎月の連載によって発信に努めた。さらに、市民を対象とした文学的抵抗の歴史と現在の動向についての講演もおこなって、「国軍」創設に深くかかわった側の国民が認識を深めることに貢献した。 なお、ミャンマー作家からの依頼による論説執筆・掲載ならびに亡命詩人からの依頼による詩集『苦難伝』の翻訳も行い、今後の調査に向けて信頼関係を構築した。翻訳については、2024年度に日本の詩人2名による書評が2点執筆され掲載される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、第一期予備的考察期の研究成果を受けて、第二期時代別考察期では、1945年から2020年までを、戦後期(1945-62)、ビルマ社会主義期(1962-88)、軍事政権期(1988-2011)・民政期(2011-2020)の三期に分け、2024年度は戦後期に出版された作品を、2025年度はビルマ社会主義期に出版された作品を、2026年度は軍事政権期・民政期に出版された作品を精査することとしている。2027年度は第三期総括的考察期とし、第二期に時間的に精査が不可能となった資料について精査を行うこととする。 以上により、戦後から現代に至る日本占領期に関するノンフィクションの文学史的位置づけを考え、それによって、現代史における文学の役割、文学史における日本占領期の意味を検証する。 研究方法の第一は資料の読み込みであり、第二は現地における関係者への聞き取りである。現地における資料検索システムはじめ、研究環境の整備にはまだ相当の期間を要すると考えられる。直接関係者との接触、ならびに資料書写が必要となるが、現地の状況を見極めたうえで、渡航可能と判断されれば、訪問先を比較的安全なヤンゴンに限定して、国立図書館等を利用することとする。渡航不可能な場合は、2023年度同様SNSを駆使して情報を収集し、可能な資料の入手に努める。「国軍」によるネット検閲の可能性を慮って、最新の注意を払いながらネットによる聞き取り調査を実施する。 研究成果は、従来同様メディアや学術誌でその都度発表していくこととする。
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Report
(1 results)
Research Products
(21 results)
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[Journal Article] 道2023
Author(s)
南田みどり
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Journal Title
本の泉社ホームページ、ミャンマー便り
Volume: 19
Pages: 1-1
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Open Access
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