戦時下帝国日本と英領マラヤにおける戦争文学の<原住民>表象をめぐる比較文学的研究
Project/Area Number |
23K00469
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
|
Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
二村 洋輔 至学館大学, 健康科学部, 助教 (50908382)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (40386561)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 原住民 / 戦争文学 / 英領マラヤ / 帝国日本 / まなざし / 比較文学 / 原住民表象 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第二次世界大戦下の帝国日本と英領マラヤにおいて生み出された戦争文学を主な研究対象として扱う。従来までの研究で上記文学は、それぞれが別個の考察対象として研究されてきたが、そのような地域限定的な研究方法は多民族・文化社会における複雑な戦争体験を扱う上では限界がある。本研究では、そのような限界を超克するために、これまで注目されてこなかった<原住民>表象に着目しながら、新たな比較文学的アプローチを提示し両方の戦争文学を接続させながら考察する。そうすることにより、これまで接続点のなかったアジア太平洋戦争の戦争経験を、「日本」と「現地」双方の視点から批判的に再構築することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に、本研究課題の根幹をなす、英領マラヤと帝国日本の戦争文学を比較文学的に分析する理論的枠組みの構築を試みるとともに、その枠組みを用いた作品分析を行い、その研究成果を発表した。 理論的枠組みに関しては、当初予定していた通り、従来の研究における方法論とその問題点を改めて整理したうえで、<原住民>表象に焦点を当てた比較文学的研究アプローチの模索を行い、その研究結果の一部を国内外の学会、国際会議にて発表した。これまでの研究において上記の戦争文学はそれぞれが別の分野にて研究されてきたが、それを比較文学的に捉えるフレームワークを提示することにより、同戦争文学を接続させて分析する視点を生み出した。同時に、研究成果発表の折には、様々な研究分野の研究者より有益なフィードバックを受け、方法論的には依然改善の余地があることも認識した。特に、作品を分析していくなかでの現地英字新聞などの史料の、より有効な活用方法を考案していく必要がある。本理論的枠組みに関しては、研究計画通り、作品の分析を行なっていくなかで継続的にアップデートし、より洗練されたモデルを構築していく予定である。 作品分析に関しては、チン・キー・オン、アグネス・キース、里村欣三、井伏鱒二の作品を対象に行い、研究成果の一部を論文として発表したのに加えて、国内外の学会、国際会議においても発表した。次年度においてもこれら作家の作品に加えて、他の作家の作品の分析にも取り組んでいく予定である。 上記に加えて、英領マラヤおよび帝国日本における原住民の表象を考察していくなかで、それが非常に流動的な概念であることが明らかになってきた。今後の研究においては、両地域における<原住民>概念を批判的に捉える、比較文化的研究に関しても発展的に取り組んでいきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症後、各国への渡航規制が緩和されたこともあり、国内外における調査活動および研究成果発表は滞りなく行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
継続的に本研究課題の根幹である比較文学的枠組みを(再)構築するとともに、それを用いた作品分析を行なっていく。また、<原住民>という概念を批判的に考察する、比較文化的研究にも発展的に取り組んでいく。
|
Report
(1 results)
Research Products
(12 results)