A Cognitive Pragmatic Analysis of Narrative Markers: A Pluralistic and Interactive Approach
Project/Area Number |
23K00522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
仲本 康一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80528935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 雅史 立命館大学, 文学部, 教授 (30424310)
臼田 泰如 静岡理工科大学, 情報学部, 講師 (80780501)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 探索活動 / イメージ・メタファー / 談話スタイル / 非流暢性 / 間投詞 / 相互行為 / 日常会話コーパス / 終わらない文 / 物語標識 / 意味空間 / ナラティブ・リアリティ / 認知語用論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、語りを自己の内省によるものというより、むしろ他者との絶え間ない相互行為によって生み出されるものとする社会構成主義に立つ。その上で、語りに含まれる多様な言語標識に着目し、それらが物語としての内的一貫性をどのように生み出すか、そして物語を相互行為の場に置くことで、物語がいかに他者と接続し、多元的な意味空間を生成するかについて、認知言語学と相互行為分析を統合した「認知語用論」の手法を用いて解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
第一に、研究代表者仲本は、まず、日々の体験を語ることばとして日本語の数量表現の意味、用法を分析した。本研究では、環境における探索活動の重要性を指摘することで言語の生態学的基盤を考察した。次に、言語コミュニケーションを相互の活動調整を行うものとみなし、相互行為の言語学の観点から、課題達成対話コーパスを用いて、日英語の話者がイメージ・メタファーを用いてどのように相互理解を図っているのかを考察した。 第二に、分担者岡本は、まず、ラジオパーソナリティのエピソードトークに着目し、パーソナリティ歴の違いによる非流暢性要素の出現傾向を分析した。それにより、語りにおける聞き手の理解を促進する多様な戦略が明らかとなった。次に、駅伝の実況中継のアナウンサーが、語りの状況のどの部分に聞き手の注意を引き、その興味、関心を持続させているかを、間投詞「さあ」の出現傾向の分析から解明した。 第三に、分担者臼田は、まず、日本語の語りにおいて頻出する直接引用について、その引用標識の多様性に着目し、「とか」に焦点をあてた研究を行った。次に、語りにおいては日本語の節末の韻律システムが重要な役割を果たす点に注目し、韻律と語彙、統語的構造、談話中の位置との関係を分析した。また、日本語の苦情の語りにおいて語り手が聞き手の笑いをどのように引き起こすかを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、代表者仲本は、日本語の数量表現に注目し、その背景にある活動の文脈を抽出した。その成果は、「日本語の数量表現の概念分析 生態学的基盤を求めて」と題して、2024年11月にひつじ書房から論文集として出版される予定である。また、課題達成対話コーパスを用いた日英語の相互行為分析についても、「日英語のイメージ・メタファー 相互行為のなかの指示と描写」「課題達成対話からみる日英語の談話スタイル―認知から活動へ」と題して、2024年7月に開拓社から論文集として出版される予定である。 次に、分担者岡本は、ラジオやテレビなどのマスメディアにおけるプロのパーソナリティやアナウンサーの「語り」を分析の俎上に載せることで、これまでほとんど明らかにされていなかった語りの巧拙についての解明に挑んだ。その成果は指導学生との共同研究として、第100回SLUD研究会において「ラジオパーソナリティのエピソードトークに出現する非流暢性要素の特徴―パーソナリティ歴との関連性に着目して―」として、またJASS48において「駅伝実況中継における間投詞「さあ」の談話機能」として報告された。 最後に、分担者臼田は、語りにおける引用標識「とか」に着目した研究を行った。この成果は、「不正確な引用:日本語日常会話における複合助詞「とか」による語りの構造化」と題して『国立国語研究所論集』第26巻に掲載された。また、語りにおける韻律と語彙、統語、談話的要因の研究は、第18回国際語用論学会、第98回SLUD研究会等で報告された。最後に、日本語の苦情の語りに関する研究の成果は、第100回SLUD研究会で発報告されされ、本年度『静岡理工科大学紀要』第32巻に掲載される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、代表者仲本は、本年度は、これまで科研費によって継続的に行ってきた研究成果を単著としてまとめることに専念する。題目は「環境を語る言葉―アフォーダンスの意味研究(仮)」であり、2025年5月を目途にひつじ書房から出版される予定である。本書の意義は、あらゆる言語の概念基盤に、生態心理学でいう「構造化された環境」―アフォーダンスがあり、そこから導かれるエージェントの活動こそが言語を成り立たせていることを主張することにある。 次に、分担者岡本は、前年度に引き続き熟達者による「語りの巧拙」に焦点をあて、プロの語り手が、多様な言語的・パラ言語的・非言語的手段を用いて語りをどのように構造化し、聞き手との共通基盤を構築しているのか、そのメカニズムの解明に取り組む。具体的には、教育系YouTuberが解説談話において仮想的相互行為をどのように利用するか、また著名な思想家が対談番組のなかで視線を通して語りをどう構造化するかを、マルチモーダル分析を用いて明らかにする 最後に、分担者臼田は、語りにおける引用標識の研究を継続的に行っていく。また、語りにおける韻律の役割について、事例ベースの知見の蓄積を目指す。なお。本研究は2024年6月にソウルで開催されるIIEMCA2024で報告される予定である。また、2023年7月のIPrAの発表をもとにした論文集が近く出版される予定である。また、日本語の苦情の語りについては、聞き手の笑いの機能に注目した研究を行い、『社会言語科学』『国立国語研究所論集』『静岡理工科大学紀要』等で発表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)