Project/Area Number |
23K00546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 文俊 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90205675)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 日本語史 / 聖書翻訳 / 漢文訓読 / 文体 / 日本語意識 / 近代日本語 / 聖書 / 漢文訓読語法 / 翻訳 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、明治期という、言文一致に向かい様々な文体が模索されていた時代に、「日本語の文体」がどのように意識されていたのかを解明していくことを目指している。そのため、漢訳聖書の影響をうけて翻訳された複数の「聖書」を調査し、その中に用いられた漢文訓読語法や、当時の俗語を含む「やさしい日本語」がその中でどのように使用されていくかをデータベース化し、それぞれの文体の特徴を語彙・語法から具体的に明らかにする。また、それら複数の「聖書」が出版された際に出された評価・言説を分析していくことにより、多角的に明治期における「日本語文体意識」の形成過程を明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明治期という、言文一致に向かい様々な文体が模索されていた時代における、翻訳された日本語の聖書の語法(特に漢文訓読語法)を調査し、「聖書」が出版された際に出された評価・言説と対照させていくことにより、多角的に明治期における「日本語文体意識」の形成過程を明らかにしていくことを目指している。そのため、令和5年度から令和8年度にかけて、(1)明治期の日本における聖書の翻訳に用いられた語法の幅広い収集・調査、および聖書が翻訳・出版された際に出された、翻訳者の意見や読者の感想などの収集・調査、(2)調査結果を多方面の研究に役立てていくために、コンピュータを用いた、聖書の語法や言説についてのデータベース作成、(3)国内の聖書翻訳研究者、日本語史研究者との情報交換と共同研究への準備、以上の(1)~(3)の作業を行っていく。 1年目である令和5年度においては、明治期における聖書翻訳に関する先行研究の整理を行うとともに、基本調査資料の整理とデータベース作成準備を行った。特に、前年度に発表した単著論文、齋藤文俊(2022)「明治後期における翻訳聖書の文体」(『国語と国文学』99-6)で扱った以下7種の資料に用いれている、過去・完了の助動詞の用例を収集した。 ①漢訳聖書訓点本、②J.Cヘボン訳『新約聖書約翰伝』、③明治元訳『新約全書』、④高橋五郎訳:『聖福音書』、⑤ラゲ訳:『我主イエズスキリストの新約聖書』、⑥ニコライ訳『我主イイススハリストスノ新約』、⑦大正改訳『新約聖書』
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で行う、「研究実績の概要」に記した(1)~(3)の作業を行っていくためには、まず、先行研究をもとにした予備調査を行うことが必要となる。そのため、令和5年度においては、特に、齋藤文俊(2022)「明治後期における翻訳聖書の文体」(『国語と国文学』99-6)で扱った7種の資料に用いれている、過去・完了の助動詞の調査を行った。 日本語の過去・完了の助動詞は、平安時代にはキ・ケリ・ツ・ヌ・タリ・リの6語が使用されているが、時代とともに口語の中では使用されなくなっていく。一方、文語文においては明治期においても使用されているが、平安時代のような意味による使い分けではなく、文体を中心にした独自の使い分けが見られる。それぞれの資料に用いられた過去・完了の助動詞の状況を調査し、その結果を、齋藤文俊(2022)で調査した漢文訓読語法「能ハズ」「ナカレ」の使用状況と対照させることにより、今後の本格的な調査への方向性が確認された。 なお、この調査結果については、令和6年度において成果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究 2年目となる令和6年度は、令和5年度に行った、基本資料の整理をうけ、「研究実績の概要」に記した(1)~(3)の作業のうち、(1)「明治期の日本における聖書の翻訳に用いられた語法の幅広い収集・調査、および聖書が翻訳・出版された際に出された、翻訳者の意見や読者の感想などの収集・調査」を中心に行っていく。 特に、国内における本格的な資料収集および調査を行う予定であり、インターネット上のデジタル資料を利用するとともに、国立国会図書館、東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター(明治新聞雑誌文庫)、聖三木図書館などを訪ね、そこに所蔵されている下記の資料を調査し、複写可能な場合は複写を依頼する。 まず、聖書の資料については、「研究実績の概要」に記した聖書以外に、明治期に翻訳された聖書を幅広く収集・調査していく。また、翻訳者および読者の言説が記載されている資料については、『六合雑誌』『福音新報』『基督教新聞』『基督教世界』などのキリスト教系の新聞・雑誌、および『明六雑誌』『国民之友』『女学雑誌』などを中心に調査をすすめる。 さらに、(2)「調査結果を多方面の研究に役立てていくために、コンピュータを用いた、聖書の語法や言説についてのデータベース作成」作業についての準備を行う。
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