近世・近代における高山寺典籍の構成と伝承に関する実証的研究
Project/Area Number |
23K00558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
徳永 良次 北海学園大学, 人文学部, 教授 (50254694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 証壽 北海道大学, 文学研究院, 名誉教授 (20176093)
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 教授 (60291994)
山中 延之 京都女子大学, 文学部, 准教授 (00782591)
末木 文美士 国際日本文化研究センター, 研究部, 名誉教授 (90114511)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 高山寺 / 聖教目録 / 文献学 / 高楠順次郎 / 南方熊楠 |
Outline of Research at the Start |
高山寺に伝来する典籍類は質量ともに第一級の日本語・日本文化の歴史を解明する重要な資料である。その典籍類は草創期の鎌倉時代から現代に至るまで記載・点検整理した鎌倉中期・江戸初期の古目録が現存し、聖教伝来の追跡が可能であるという他の社寺には見られない特徴があるが、近世から近代にかけての伝来は不明な部分が多く、伝来の追跡が困難なことも多かった。 本研究は、近世末期から近代における高山寺典籍文書類の保管・整理とそれに関係した人物を実証的に研究することで個々の資料の有する成立背景と伝来過程を解明し日本語研究資料としての有用性を高めることを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
高山寺所蔵の近世・近代にかかる未調査の資料について、2度の現地調査を実施し、以下の成果を得ることが出来た。 1)昭和期に始まった50年以上にわたる高山寺典籍類の綜合調査において、これまで未調査、あるいは調査対象外であった主として近代以降の資料が、高山寺経蔵内に4函あることは知られていた。令和五年度の調査において、そのうち2函が、本研究に最も重要な資料群として最優先で調査すべきであることが判明し、次年度調査までに、研究を進展させるのに有用な調書を作成する準備を整えることとした。その内訳は、「番外函三」が、明治期以降の寺内経蔵に関する複数の目録類、「同第四函」が、明治期の住職土宜法龍師と南方熊楠に関する未発見の書簡類が含まれていることが判明した。 2)昭和期の住職である小川義章師については、これまで記録類の多くを翻刻し、広く学界に提供してきているが、引き続きこの作業を続けていく。 3)近代以前の、特に江戸時代の高山寺聖教の保管状況について知ることのできる目録について、これまでは翻刻のみで提供してきているが、本研究により精細な影印として提供する事が出来た。今後は、この資料の性格について研究していく予定である。 4)南方熊楠については、明治期の高山寺住職土宜法龍師との間で度々書簡が交わされており、近時、寺内経蔵から新出書簡が見出され、その翻刻と研究が引き続き進められており、最新の研究書にも引用されるなど、広く学界に知見を提供しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の対象とする京都高山寺に2度にわたって実地調査をすることが出来た。具体的には、令和5年9月の調査において、想定していた未調査の「番外函」4函について、研究チーム全員で予備調査としておおむね全ての収蔵内容を確認することができた。続いて、令和6年3月調査においては、その番外函のうち、第3・第4の2函が特に本研究課題にとって重要であることが想定され、次年度に向けて、詳細な目録作成をしていくことを確認することができた。 また、近代の高山寺歴代住職、とりわけ本研究にとって重要な、明治期の土宜法龍師、昭和期の小川義章師に関する記録類の発掘、調書作成、翻刻などを順調に進行することができた。 高山寺以外の、国立国会図書館に所蔵している、高楠順次郎博士に関わる、「財団法人啓明会」の事業報告書を調査し、高楠順次郎博士が「古社寺所蔵図書ノ調査」という名目で、大正8年から5カ年にわたり、当時の金額で5千円を補助されていることが明らかとなった。その調査は、京都の東寺宝菩提院三密蔵、粟田青蓮院吉水蔵、栂尾高山寺法皷臺の経蔵が対象であり、その聖教についてすべての目録を完成させるという一大事業であった。実際には、昭和5年の第12回啓明会事業報告書に「栂尾高山寺『法皷臺聖教目』」二十二巻が完成し終了したとの記録があることも調査の過程で明らかになった。本研究は、従来必ずしも明確でなかった「大正新脩大蔵経」の編纂・刊行について解明する一助となることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
高山寺経蔵に所蔵される、未調査の近代資料について、引き続き調査を進めていく。具体的には、令和五年度調査において明治期から昭和に至るまでの高山寺資料についての保管状況を知る上で重要であると考えられる2点の目録(作成者未詳聖教目録、高楠順次郎博士作成の聖教目録)を新たに発見し、順次、写真撮影をするとともに、内容について検討をする事とした。この資料の内容を詳細に分析することで、経蔵内の資料群が、いつ・どのような人物により、どのような目的で変更され、現在の編成に至ったかについて新たな知見を得ることが出来る。特に、「番外函三」に収蔵されていた明治期の記録類の中に複数の聖教目録と思われる資料を確認することが出来、これらの詳細な分析により、「江戸初期から昭和三十年代にかけての高山寺聖教の保管と整理」についての様相を解明することになると考えられる。 また、令和五年度の調査において、昭和期の住職である小川義章師に関わる芳名録や内容未詳の膨大な資料をあらたに発見した。これらについても、より詳細な整理、分析、検討を進めることで、さらなる近代高山寺の全体像を知ることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)