タイポグリセミア現象に対する多面的検証実験と生体計測に基づくアプローチ
Project/Area Number |
23K00568
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Miyazaki Sangyo-keiei University |
Principal Investigator |
本村 信一 宮崎産業経営大学, 経営学部, 教授 (10737472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃野 浩樹 米子工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40882527)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 脳波・視線同時計測 / タイポグリセミア現象実験 / タイポグリセミア現象 / 簡易脳波計 / NIRS / 視線分析 |
Outline of Research at the Start |
タイポグリセミア現象とは、文章が単語に誤りを含んだもので構成されていても、文章の 内容を理解できてしまう現象のことである。例えば「こんちには。ごぶたさしています。」 という一文が与えられた場合でも、「こんにちは。ごぶさたしています。」と読めてしまう。しかしながら、国内においてどのような条件でタイポグリセミア現象が生じるかといった観点や、視線分析あるいは脳機能の観点で十分な研究が進められていない状況である。そのため、本研究において日本語におけるタイポグリセミア現象の発生条件を明らかにし、他の言語処理能力との関連性や視線分析と脳機能計測による当現象に固有の反応や特徴を検出することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の研究実績として、タイポグリセミア現象の再現実験における脳波と視線の同時計測環境を構築した点と、試行錯誤に伴うよりよい実験のための多面的検討について方向性をまとめ、現年度での本実験開始に向けた準備が整った点の2点が挙げられる。 1点目の脳波と視線の同時計測環境構築について概要を述べる。本申請前の先行実験では、脳波ならば脳波、視線ならば視線というように、単独の装置を用いた計測が中心であった。そのため、被験者数がかさむ問題や慣れの問題が生じ、同時計測の必要性に迫られていた。採択直前の年度において同時計測を試みるも、脳波にノイズが混入し上手くいかなかった経緯がある。このような経緯を踏まえ、本研究の初年度において、脳波計とその電源構成や接続の見直し、視線分析のためのアイトラッカーの装着方法などを工夫し、タイポグリセミア文を読む予備実験に対して、簡易脳波計によるノイズのない脳波と、文章のどこを読んでいるのかを示す視線データの同時採取に成功した。 2点目の本実験開始に向けた検討が終了し、準備が整った点について概要を述べる。申請時にも報告済みではあるが、単語の一部分を入れ替えたもので文が構成されていても文が読めるというタイポグリセミア現象について、国内の先行研究が十分でないため、今後の本実験が肝となってくる。そのため、文章のテーマや文の量、入れ替え頻度や被験者への提示方法など、本実験前に多様な検討が必要であった。これらの検討事項について、実際に本実験を行ってみて得られる知見もあると推察されるが、被験者に対する拘束時間の観点やアンケートの実施方法、モニター画面上での文字の見やすさを考慮した文の量などを検討し、本実験に向けた準備をおおむね完成させた。 以上の研究初年度の研究実績により、本実験を現年度の7月より開始することが可能な段階に到達することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄でも述べたが、単語の一部分を入れ替えたもので文が構成されていても文が読めるというタイポグリセミア現象について、国内の先行研究が十分でないため、より本実験前の緻密な準備が重要となってくる。そのため、研究初年度の期間において、よりよい実験環境の構築と、よりよい実験方法のための多面的な検討と実験準備を進捗目標として、当該研究を進めてきた。 現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展しており、まもなく開始予定の本実験に向け最終的な調整段階に入っている。よりよい実験環境の構築については、研究実績の概要の通り、脳波と視線の同時計測環境を構築し、実際にタイポグリセミア文を読む予備実験において、脳波と視線データの同時採取に成功した。まだ予備実験のため十分ではないものの、この内容を2023年度社会情報学会第1回中国・四国支部研究発表会で報告した。また、よりよい実験方法のための多面的な検討についても、検討内容や解決策を2023年度社会情報学会第2回中国・四国支部研究発表会で報告した。現在までに、①単語の最初と最後の文字は入れ替えずにそのままとする、②文章を6文字以下の単語のみで作成する、③3文字以下の単語は入れ替えをしない、④文字を入れ替えた単語が別の意味を持たない、⑤文章全体の内容が予測可能なシンプルなもので理解に苦労しないという5つの仮説に基づき、本実験用のタイポグリセミア文の作成が完了している。また、タイポグリセミア現象との関連性を意識した被験者アンケートの作成や、より電磁気的なノイズをシャットアウトする電源環境の準備も着々と進んでおり、まもなく本実験を開始する予定である。 以上の点から、おおむね順調に進展していると判断し、引き続き実験の実施と、実験データの分析へと段階を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究課題について、研究代表者と研究分担者の2つの研究機関でその特色に応じて研究を推進している。どちらの機関も本実験に向けた準備は順調であり、本年7月をめどに本実験を開始し、現年度では学生被験者を中心としてより多くのデータ採取を目指す計画である。 1つは、被験者学生数のスケールメリットを活用した脳波計測とアンケートによる大規模実験の実施を予定している。この大規模実験により、タイポグリセミア文を苦にせず読める人とそうでない人の特徴をつかむことを狙う。例えば、タイポグリセミア文に対する得手不得手による脳波パターンの違い、あるいは長文の読む速さとの関連性や、アンケートに基づく性格や生活習慣などとの関連性を明らかにしていく予定である。こちらは、現年度は被験者数を増やすことに注力しつつ、年度途中に並行して速報という形で成果を国内学会で発表する計画である。 もう1つは、多様な計測機器を活用した多視点の生体情報データを切り口とする分析を目指す。脳波のみならず、脳波とアイトラッカーを活用した脳波・視線の同時計測により、タイポグリセミア文に対して視線の流れがどのようになっているのか、視線の変化量と脳波の関係はどのようになっているのかなどを明らかにしていく予定である。また、簡易NIRS装置を用いたタイポグリセミア文に対する得手不得手による脳活動の違いの実験に向けた準備を並行して進めていく予定である。先行して脳波・視線同時計測実験を年度内に終了させ、1つ目と同様に年度途中に並行して速報という形で成果を国内学会で発表する計画である。 このように、2つの研究機関の特色を活かしたタイポグリセミア現象に対する実験を実施し、国内の先行研究が十分でないタイポグリセミア現象に関する知見を得る予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)