よい書き手の経験則を活かした日本語ライティング支援基盤の構築
Project/Area Number |
23K00603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02090:Japanese language education-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
トンプソン 美恵子 (平野美恵子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20401606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 史彦 東京都立大学, 国際センター, 教授 (60579168)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ライティング / 研究論文 / 暗黙知 / パターン・ランゲージ / 文章作成支援 / ライティング・センター / 文章作成 / 内省 / 経験学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ライティングをめぐる「自立した書き手」の意識醸成を書き手と支援者双方に促すために、「良い書き手の経験則」の意識化をライティング支援に体系的に位置づけることを目指す。具体的には、第一に、ライティング支援に従事するチューターにインタビューを行い、よい書き手の経験則とは何かを明らかにする。そして、その経験則を可視化するパターン・ランゲージを開発する。第二に、パターン・ランゲージを活用したチュートリアルの実践、第三にチューター養成の実践を分析する。これらの段階を経て、パターン・ランゲージによる教育的処遇の可能性と課題を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は熟達した書き手の暗黙知を明らかにし、それを教材化することでライティング・センター等での論文作成支援の拡充を目指すものである。令和5年は①パイロット版教材の開発、②本教材を作成するためのインタビュー実施、③「引用」と「情報検索と取捨選択」に関するコツの抽出を行った。 第一に、『研究レポート・論文のパターン・ランゲージ(以下PL)』のパイロット版を既存の学習に関するPLを参考にして開発した。PLは、ある分野において繰り返し見られる経験則をインタビューなどからパターンとして抽出し、パターンごとの状況・問題・解決案を言語化、かつイラストで視覚化したものである(井庭他,2019)。25のコツで構成される『研究レポート・論文のPL』の内容は豪州日本研究学会研究大会で発表した他、『AJジャーナル』(15)に掲載された(トンプソン,2023)。 第二に、『研究レポート・論文のPL』開発過程で浮かび上がったライティング特有の暗黙知の可能性を踏まえ、ライティングセンターで文章作成支援に従事する大学院生チューター7名を対象に半構造化インタビューを行った。インタビューでは、彼ら自身が研究論文を作成するプロセスをふり返ってもらい、各ステップで行っていることや特に重視していること、つまずきを乗り越える工夫などを尋ねた。結果は分析中だが、資料・思考の整理や書き進める方法など、パイロット版PLにはない経験則があることがわかっている。 第三に、レポート作成における難関とも言える「引用」と「情報検索と取捨選択」に関し、日本語教員3名で細かく作業ステップを分析し、コツの抽出を行った。そして、抽出したコツを上級日本語学習者に対するレポート指導に活用した。この実践例は『第62回日本語教育方法研究会』で発表した(ボイクマン・トンプソン・根本,2024; 根本・トンプソン・ボイクマン,2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の1年目の計画では、ライティングセンターで文章作成支援に従事する大学院生チューター20名にインタビューを実施する予定だったが、勤務年数や自身の論文執筆経験などの条件に合う対象者を確保することがやや困難で、7名にとどまった。 その一方で、パイロット版教材を作成することができた他、「引用」「情報検索と取捨選択」というライティングで難所と言われる事柄に関するコツをある程度明らかにできた。これらは計画には入っていなかったが、今後の教材化に向けた大きな収穫と言える。前者はライティング・センターでの使用を視野に入れた本教材を作成する上で有用であり、後者は大学の授業等でのレポート指導に活用可能な教示内容の可視化につながるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年は、①熟達した書き手としての経験則を持つ者を対象とするインタビューの継続実施、②インタビューデータの分析、③市販テキスト等を用いた内省によるライティングのコツ抽出を行う。科研申請時は2年目にPL開発とその教育的効果の検証を行う予定だったが、インタビュー実施に遅れがあるため、今年度はインタビュー実施とPL開発に力を入れることとし、教育的効果の検証は令和7年以降に実施したいと考えている。 また、科研申請時には予定していなかったが、上述の③を行うことで、アカデミック・ライティングの指導に活用可能な教示内容の可視化を図る。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)