A Study on Classifying the Morphology and Elucidating the Function of Quotations for Teaching Academic Writing
Project/Area Number |
23K00625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02090:Japanese language education-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 留実子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (90309716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 裕子 山梨学院大学, 学習・教育開発センター, 准教授 (70734507)
中村 かおり 拓殖大学, 外国語学部, 教授 (70774090)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 引用形態 / 分野別特徴 / 使い分けの意図 / 論文構造型 / 研究手法 / 文体 / 語り / 引用の段階的指導 / アカデミック・ライティング / 段階的な引用指導 / 分野による違い / 引用形態の決定要因 / 引用文 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、学術的な文章の中で引用が適切に行える、つまり、外部情報を自らの文章に取り込む際に適切な表現の選択が行えるようになるための指導の方策を示し、アカデミック・ライティング指導に資することを目指している。そのために、引用箇所の、引用表現の有無、言い換えの程度、解釈を含む割合などの違いによって多様に現れる引用形態に注目し、それらの形態がどのような文章作成の要素と関係しているのか、分野による違いも踏まえて明らかにする調査を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アカデミック・ライティングにおける引用指導について、より有効な方法を探っている。そのため、学術的な文章での引用形態の使用実態を明らかにする文字データ調査と、分野による引用形態の機能の違いおよび現場の引用指導の実態を明らかにするインタビュー調査を、次のような考えに基づいて行っている。 より有効な引用使用の指導を検討するにあたっては、従来のように引用を、引用方法や引用形式として取り上げるのではなく、それらが文中で使用される形(以下、引用形態)で捉えることが有効であり、専門分野によって異なる文章の書き方や文体の中での引用形態の機能を明らかにする必要がある。また、初年次から専門段階へのライティング指導の接続の課題を引用指導の側面から明らかにすることで、引用の段階的指導が提案でき、ライティング指導に資することができる。 今年度は、昨年度実施した文学を専門とする研究者3名へのインタビュー調査の結果から文学分野の傾向を抽出した。研究者自身の論文の地の文には、物語などでよく見られる、過去のできごとを、現在形を用いながら展開する「語り」調の書き方が多く用いられ、引用形態でも現在形が用いられていた。この傾向は文学分野でよく見られるもので、研究者らは読み手を惹きつける書き方として、好んで用いていることが明らかになった。また、文学分野には、過去の言語資料などを研究対象とする資料分析型の論文が多く見られ、その型の論文には、資料からの引用と先行研究からの引用が混在するため、いずれからの引用か不明確になりがちであるが、調査の結果、研究者らは、これら2つの引用を区別するため、引用形態を変えて用いていた。引用形態のこのような機能は、これまで明らかになっていなかったものである。 また、今年度は、日本語学、政治学、地域研究の研究者にインタビュー調査を行い、これらの結果分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、JP19K00731「アカデミック・ライティングにおける適切な間接引用指導のための調査・研究」を引き継ぐもので、その最終年にインタビュー調査を行っていたため、継続性を考え、今年度はインタビュー調査を優先的に行い、当初の計画では今年度実施予定にしていた論文データ調査は来年度以降に行うこととした。 今年度の成果は次のとおりである。1)インタビュー調査により、文学分野と日本語教育分野の引用形態の使用の違いが明らかになり、その結果を2つの学会で発表した。2)これまでの調査に加えて新たな分野の研究者に対してインタビューを行い、初年次または初学者向けのライティング指導から専門段階の指導への接続における課題を明らかにした。この成果については、来年度発表することが決定している。 また、これまでの調査から、論文の中に「語り」調の書き方が見られ、学生の引用理解がこの書き方の中では理解されにくいことを指摘してきたが、文学を専門とする研究者へのインタビュー調査の結果から、その書き方における引用形態の機能が明らかになったことで、引用指導の検討に新たな視点を得ることができた。 以上の他、文学以外の分野の研究者へのインタビュー調査も進めており、進捗は順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は次のように予定している。 1)引用形態の使用実態のためのインタビュー調査:これまで行なってきた、日本語学、政治学、地域研究分野の研究者に対する調査結果を分析し、分野による引用形態の機能の違いを明らかにする。その分析結果については、国内外の学会で発表する。また、これまで取り上げていない人文系分野の研究者に対して調査を行なう。 2)引用形態の使用実態の中間まとめ:これまでの論文データ調査の結果と1)の結果を付き合わせ、分野ごとの引用形態の使用実態の中間まとめを行い、それに基づき、今後の調査や分析方法の調整も行う。 3)「語り」調の書き方の明確化:これまで明確には特徴づけることができなかった「語り」調の書き方の定義づけを行い、その書き方が多く用いられる分野や論文中の箇所などを明らかにする。 4)ライティング指導における引用指導のあり方の検討:1)2)3)で明らかになったことを、大学のアカデミック・ライティング指導全体の中に引用指導を位置づけて、そのあり方の検討を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)