修験道はいかにして修験道になったか―修験道成立史の再検討―
Project/Area Number |
23K00815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
徳永 誓子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (90706772)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 修験道 / 山伏 / 験競べ / 熊野 / 験力 / 護法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、修験道がいつ、いかにして仏教的な山中修行全般とは違う独自のものになったかを明らかにしようとするものである。古典的な修験道研究では時間軸にそった検討が手薄であり、要因の分析も不十分であった。これに対する批判を通じて、「修験道」という概念が13世紀末~14世紀に現れたことが明らかになったが、「修験道」概念の定着以前に、山中修行全般と、修験道独自の要素との区別がいかになされたかに関しては、議論が進んでいない。本研究では、山伏・熊野本宮長床衆・験競べの歴史的解明に取り組み、修験道の独自性がいかなる側面に求められ、またいかにして確立したかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)山伏の歴史的変遷、(2)熊野本宮長床衆の実態および熊野三山検校との関係、(3)験競べの歴史的実態および修験道との関係、の三つを課題とした。このうち当該年度は(1)(3)の二つにつき、重点的に作業を進めた。 (1)については、13・14世紀の絵画史料から山伏と思われる図像を抽出し、それらの図像を山伏として良いか否かを検討、文献史料の記述と照らし合わせて当該期絵画史料における山伏の特徴を明確にした。また図像の登場時期をもとに、実態としての山伏装束の定着は12世紀後半あたりと推測した。(3)については、11~14世紀の文献史料、および中世の絵画事例として貴重な『鳥獣人物戯画』の図像を主要な素材に用い、験競べの定着時期・当該期の形態を考察した。現時点では11世紀の定着と推測しており、また比叡山延暦寺が早い例であることに着目している。延暦寺、とりわけ根本中堂は11世紀から12世紀にかけて、巡礼の修行者が集まる地であったと見られるが、その後、修験の霊場として発展することはなかった。そのような同寺が最初期の験競べに関わっていることは、他寺社における同儀礼のあり方につながる重要な論点となる。 (1)については日本山岳修験学会例会において、(3)は佛教史学会大会において、口頭発表を行い、関連・隣接領域の参加者から、多くの批判・助言を受けた。議論を通じて新たに得た知見を組み込み、論文を公表すべく、作業を進めている。 なお関連して『論集修験道の歴史』1巻・3巻の編集を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、当該年度は(1)山伏の歴史的変遷、(3)験競べの歴史的実態および修験道との関係、の二課題につき、作業が進展した。 当該年度の作業に予定していたのは、主に史料調査・収集であったが、このうち、(1)に関わる一部画像の入手・分析、(2)に関わる文献の検証、は、次年度に行うこととなった。 計画に変更は生じたものの、(1)(3)については口頭発表の実施によって研究の進展が促進され、全体として見た場合、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の進捗状況、また今後の学会発表などの予定を踏まえ、以下のように作業を進める予定である。 第2年度(本年度):(1)の成果を学術論文として公表。(2)に関する文献史料の検証に着手し、それによって得た知見を踏まえて、学会で報告。 第3年度:(2)の成果を、学術論文として公表。なお、当該課題の作業に時間がかかった場合は、既に口頭発表を行った(3)の公表に向けた作業を先に進める。 第4年度:(3)の成果を、学術論文として公表(状況に応じて、公表順を変更することは上記の通り)。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)