文化・文政期における長崎町人と長崎市場の研究ー天草石本家の活動を起点にー
Project/Area Number |
23K00817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶嶋 政司 九州大学, 附属図書館, 助教 (80403939)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 長崎町人 / 長崎市場 / 天草石本家 / 市場構造 / 新田開発 |
Outline of Research at the Start |
従来の長崎市場研究は近世初期における貿易を背景とした商品市場と金融市場を対象としたものと、幕末期における九州諸藩の長崎金融市場に集中している傾向にあり、中期から後期にかけての展開過程には検討の余地が残されている。本研究では近世後期とりわけ文化・文政期の長崎町人と長崎市場のあり方を検討する。近世後期の長崎の都市社会は、18世紀末から19世紀初頭にかけて貿易の縮小傾向が進行し、またロシア船やイギリス船などの異国船来航が相次いだことにより社会不安が顕在化した。本研究の問題関心は、こうした社会状況のなかで長崎町人はいかなる思考をめぐらし、長崎の市場構造が形成されていったのかを解明するところにある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肥後国幕領天草郡に本拠を置く豪商石本家の活動を起点として、文化・文政期を中心とした長崎町人の経済活動と市場構造の分析を目的としている。 研究開始年度にあたる本年度は、長崎町人と石本家の関係、とりわけ天草石本家が長崎市場へ関与を深めて行く過程の実証に関連して、①石本家文書(九州大学所蔵)の史料論的分析と、②石本家文書を立体的に補完するための関連史料の収集・分析を行い、主に次の二つの成果を得た。 まず①では、石本家文書に残る膨大かつ多様な経営帳簿の構造把握と、広範囲に及ぶ発信者からの書簡史料の類型化に注力した。これらの作業により今後の研究推進のための基礎データを得ることができたことが第一の成果である。 つぎに②については、石本家文書を補完する関連史料のうち、慶應義塾大学文学部古文書室が所蔵する島原藩日記を最優先に調査を実施した。島原城主深溝松平家の藩政日記を収集することができたことにより、長崎市場を検討する際に必須となる、文化期の長崎および天草郡の政治状況分析が可能となった。当該時期に預地として幕領天草郡の支配にも与った島原藩の藩政日記を解析することで、本研究のテーマである天草石本家と長崎町人の動向および長崎市場に関する経済的分析に、政治史的な論点を導入することができたことが第二の成果である。 また、本研究が重視する関係史料の収集をより緻密に進めていくために、長崎町人および長崎市場に関係する資料の所在調査を行なった。1940年代に九州大学が行なった北部九州の近世地域史料調査に関する記録を解読分析した結果からは、新史料の所在を確認することができた。なお、この調査記録については、多様な史料的価値を有すると考え、全文翻刻を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、石本家文書の史料論的分析に注力して研究推進のための基礎データを得ることが出来た。関連史料の収集では、島原藩日記(慶應義塾大学文学部古文書室)の調査を優先的に行なった。島原藩日記の調査と分析で、本研究に政治史的視点を導入できたことは重要な進捗であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度については、2023年度に実施した島原藩日記(慶應義塾大学文学部古文書室所蔵)の調査の継続に加えて、昨年度重点的に進めた石本家文書の史料論的考察から得られた成果を踏まえ、永見家文書(長崎歴史文化博物館)と藤文庫(長崎歴史文化博物館)、長崎奉行・長崎会所関係資料(長崎歴史文化博物館)の平行調査に注力する。 研究成果の取りまとめについては、これまで得られた成果をまとめ、『九州文化史研究所紀要』を媒体として公表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)