Project/Area Number |
23K00824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
戸邉 秀明 東京経済大学, 全学共通教育センター, 教授 (90366998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣木 尚 大正大学, 文学部, 専任講師 (00756356)
高田 雅士 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (00876261)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 色川大吉 / 戦後歴史学 / 史学史 / 戦後思想 / 民衆思想史研究 / アーカイブ |
Outline of Research at the Start |
戦後日本の歴史研究で独自の位置を占めた民衆思想史研究について、創始者である色川大吉の旧蔵資料を分析することで、実証的に再構成する。 具体的には、初の単著『明治精神史』(1964年)刊行に至る色川の人生と研究の軌跡を復元し、歴史叙述が生み出される過程を明らかにする。その際、戦前来の歴史学との関係や同時代の社会・文化運動との接触について、関係資料の分析によって検証する。その実態を再構成することで、戦後日本史学史の系譜について問題提起を図る。 研究と並行して、色川の旧蔵資料を色川大吉関係資料として一括して整理する。それにより、戦後日本史学史研究の範例となるような歴史家アーカイブを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.東京経済大学に移管された色川所蔵史料について、整理・分類を進めた。23年度は書籍・雑誌の形態の史料に集中して整理を行い、約8000点の史料について、書誌情報の入力、色川執筆箇所の有無の特定、献呈者の有無等の確認、色川の書込の有無の特定等の一連の情報を精査した目録データを作成した。この作業には、23年4月以降、専属で整理にあたる専門的知識を有する人材を充てることができている。作業は研究代表者との緊密な連絡のうえ、詳細な指示のもとで進めている。作業の結果、色川の大学院生時代の貴重な書込や、同じ民衆思想史研究者の論文に対する詳細な検討と批判を発見することができた。これらは今後、分析のうえ、抜粋・紹介する機会を用意する。 2.日記資料(移管分)の整理・分類を進めた。特に、本研究課題で主たる対象としている1960年代までの色川の日記史料(色川が自分史作成のために複写・製本したもの)について、分散していたものを特定・収集し、基礎的な情報を整理した。 3.研究代表者・分担者の会議を、第1回(2023年8月4日)、第2回(2024年3月25日)の2度、開催した。第1回は、a.色川大吉ほか民衆思想史を中心とする戦後歴史学に関する史学史の研究動向についての報告、b.今後の各自の研究計画についての報告と意見交換、c.色川所蔵史料の現状確認と重要史料の選別(優先的に分析を進める必要がある史料の特定)、を実施した。第2回は、a.色川所蔵史料のうち、重要史料に関する作業手順の打合せ(撮影方法・保存方法等について)、b.1950年代作成の文書史料の内覧と史料価値についての検討(討論)、c.24年度計画の検討、を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.初年度に想定していた史料の燻蒸処理、並びに保存箱等の購入と文書史料の分類作業は、2024年度に見送ったため、初年度予算の相当部分が未執行となった。これは史料全体を種別ごとに分け、整理の作業量を再検討した結果、図書・雑誌史料の整理を優先したためであり、次年度以降に順次執行できる。 2.色川大吉関係者の聞き取りとして初年度に予定していた方が亡くなったため、未執行分は次年度分の聞き取りに送ることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.史料整理:(1)図書・雑誌史料の整理を完了させ、色川の書込等の分析を進める。(2)文書資料の整理に着手し、その資料形態に即した目録を作成する。(3)特に重要な文書史料については撮影のうえ、画像を研究分担者間で共有して、分析の便を高める。(4)アルバムやネガ等の写真史料が膨大なため、専門家の助言を得て、保存・利用の方法を検討する。 2.史料分析:(1)1950年代前半に色川が携わった演劇活動に関する史料の分析を進める。色川の所蔵史料のうち、特に作成台本と草稿、同時期の日記の記述を照合し、創造の軌跡を再構成することで、色川史学の発想の原点を探る。(2)1950年代後半の多摩地域史料調査時のノート・写真等から、当時の色川の史料調査をめぐる研究者ネットワークを復元し、既発表論考との関係を探ることで、『明治精神史』執筆の前提を明らかにする。(3)1960年代の著作活動のうち、色川所蔵史料から執筆経過が最も詳細にわかる『近代国家の出発』に焦点を絞り、その作成過程の分析から色川民衆思想史の表現史的位相を探る。 3.聞き取り:(1)色川の「自分史」普及活動を支えた八王子・揺籃社の方々、(2)東京経済大学の色川ゼミの初期ゼミ生、にそれぞれ聞き取りを行い、あわせて関係史料に関する照会を行う。(3)史学史研究者を招聘し、研究動向についてヒアリングを行い、あわせて整理作業について助言を得る。 4.調査出張:(1)色川と交友のあった歴史家の史料を保存する京都大学文書館を訪問し、関係史料を調査する。(2)歴史家の旧蔵資料を保管する京都大学文書館、早稲田大学中央図書館等を訪問し、保存・利用の仕方について教示をいただく。(3)水俣市を訪れ、色川所蔵史料から移管された不知火海総合調査団関係史料について調査し、東京経済大学保管分の同調査団関係史料と照合のうえ、関係史料の全体像を復元する。
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