永青文庫資料と「くずし字AI-OCR」の活用による17世紀社会論・公儀権力形成史の再構築
Project/Area Number |
23K00842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
稲葉 継陽 熊本大学, 永青文庫研究センター, 教授 (30332860)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 永青文庫細川家文書 / くずし字AI-OCR / 藩政史料 / 大名領国社会 / 熊本藩政記録史料 / 17世紀社会論 / 災害史 |
Outline of Research at the Start |
厖大な文献史料をいかに効率的に把握し活用するか、世界史の近世化という大変動期にあたる17世紀の社会状況をどう実態的に把握するかという、二つの課題に正面から挑む。 最新の「くずし字AI-OCR」システムを活用して、永青文庫細川家文書に280冊52,000丁もある当該期の奉行所日報等を、「くずし字AI-OCR」システムによってテキストデータ化する。その上で、気象災害関連字句を検索システムによって検出し、当該期中部九州地域での天候災害に起因する飢饉と民衆生活への藩側の対応ぶりを把握・究明して、幕藩体制確立過程を再把握する。成果は「くずし字AI-OCR」を活用した研究モデルケースとしても提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1. TOPPAN会社が開発しているくずし字AI-OCRシステムを、17世紀の細川藩政史料の解読用にカスタマイズするための基礎的作業を進展させた。具体的には、「奉書」(藩主の口頭での命令を書き留めた記録)、「奉行所日帳」(細川家奉行所の日報)を中心とした藩政記録史料の画像データ1284カットをくずし字AI-OCRにかけて翻字データを作成し、それを研究協力者の後藤典子が原本校正をかけて誤字を修正し、そのデータをくずし字AI-OCRに学習させるという作業を実施した。これによって、技術的な課題である17世紀の速記的な藩政記録史料解読の精度を71.6%まで向上させることができた。
2. 次年度からの史料画像データのくずし字AI-OCRによる大量処理作業に対応するためのサーバを、TOPPAN株式会社内に構築した。
3. 研究代表者の稲葉は、本研究と密接にかかわる研究として、単著『近世領国社会形成史論』(全397頁、吉川弘文館)を2024年2月1日付けで上梓した。既存の時代区分をこえた大名領国社会の形成過程を、細川家のそれを中心に示した研究書であり、本研究を展開する土台をなす内容となる。具体的には、戦国期の自治的な村共同体が近世大名領国の展開をどう決定づけたのか。主に熊本藩細川家を例に、百姓身分の特質、村請制、城割、中間行政機構、境目地域、郡奉行の行政権、諫言、「御国家」などを論点に追究した。大名領国の経済的土台から法的・観念的上部構造までを総体として把握し、幕藩関係の画期とされる寛永飢饉期を地域社会の側から捉え直そうと試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最初の2年間は、①くずし字AI-OCRシステムの技術的な課題の抽出、それによるシステム改善、すなわち翻字制度の向上、②くずし字AI-OCRによる大量処理作業に対応するためのサーバの構築、③対象史料群約310冊56,500丁全体のフルオートでのテキストデータ化、専用検索システムの構築による、対象史料群のデータの活用可能な状態への処理、を完了する予定である。これは、本研究の計画後半における対象史料群からのキーワード検索による具体的な研究を展開するための不可欠な前提をなす作業である。 本年度は、熊本大学永青文庫研究センターとTOPPAN株式会社との協力のもとで、①および②をほぼ予定どおりに進展させることができた。よって、おおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度 対象史料群のすべてをフルオートでテキストデータ化するとともに、専用検索システムを構築し、対象史料群のデータを活用可能な状態へと処理する。 2024~25年度 上記のデータによって、17世紀中部九州地域における気象災害の長期的傾向、気象災害・経営破綻・飢饉・疫病の構造的関連性などを把握する。さらに、17世紀の気象災害の直接的被害とそれを要因とした経営破綻・飢饉・疫病が集中する時期を把握し、当該時期を対象に、災害・飢饉・疫病状況に藩と地域社会そして幕府がどのように対応して社会秩序と幕藩権力との関係が変容していくのかを分析する。 2026年度 補足的な史料のテキストデータ化・キーワード検索を重ねながら、成果を単著として取りまとめ、作成したテキストデータを社会の文化的共通資源として公開する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)