Project/Area Number |
23K00870
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
上野 雅由樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10709538)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | オスマン帝国 / アルメニア人 / 聖職者 / 多文化社会 |
Outline of Research at the Start |
本研究で応募者は、宗教・宗派の面で多様な人々を内包したオスマン帝国において、近世期に政治権力が宗教的少数者の高位聖職者層をどのように帝国の統治に組み込んだのかを検討する。そのために、帝国人口の一割程度を占め、宗教的少数者としては二番目の人口規模を有したキリスト教徒アルメニア人の事例を主に取り上げ、その高位聖職者層の権限強化がいつ、どのような事情を反映して進んだのかを、オスマン帝国の行政文書をもとに分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
オスマン帝国はその広大な領土に宗教や民族の面で多様な人々を内包した帝国であり、ムスリムが支配層を形成したこの帝国において、人口の3分の1程度はキリスト教徒やユダヤ教徒といった非ムスリムが占めていた。これら非ムスリムがそれぞれの信仰を保持し続けることができたのは、オスマン帝国政府が概して、非ムスリムの聖職者機構を維持することを容認し、高位聖職者たちの権限を公認したことに負うところが大きく、それだけに、帝国政府と非ムスリム聖職者の関係を明らかにすることはオスマン帝国下の多文化社会のあり方を理解する一助となると考えられる。こうした理解を念頭に、本研究課題では、17、18世紀のオスマン帝国が非ムスリムの高位聖職者層とどのような関係を築いていたのかを帝国の行政文書から明らかにすることを目的として設定した。2023年度には主に、非ムスリム諸集団のなかでも最大の人口規模をほこった正教徒に関して、近年急速に進んだ研究の成果とその問題点を把握するべく、二次文献から得られる情報を検討した。また、独自の教会組織を持ち、正教徒に次ぐ人口規模を有しながらも、聖職者の処遇をめぐってはこれまで十分に検討されてこなかったキリスト教徒アルメニア人の事例について、オスマン帝国が残した文書史料を調査し、聖職者の任命文書や彼らが提出した訴えを受けて発せられた勅令などの一次史料を調査した。その成果をもとにした予備的な考察を、2023年7月にアンカラで開催された第一回近世オスマン史学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、イスタンブルで行うオスマン帝国の文書史料の調査から得られる情報をもとに、学術論文を発表することで成果を示すことを大枠としている。初年度においては当初の予定どおり、二次文献の収集と読解、イスタンブルでの史料調査を行った。史料調査に関しては予定していたほどには進められなかったものの、2023年7月に近世オスマン史学会の第1回大会が開催されたことを受けて、これに参加し、研究発表を行ったことで、今後の研究の方向性を考える上で有益な助言を得ることができた。こうした事情に鑑み、全般的な進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の基盤は、オスマン帝国の行政文書の調査から得られる情報にあり、当初の予定どおり、初年度に引き続き2024年度も、文書調査を可能な限り進めていきたいと考えている。あわせて、その成果を少しずつまとめ、可能であれば2024年度内に成果をまとめる作業も進めていきたいと考えている。
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