Project/Area Number |
23K00875
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
鈴木 真 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (60400610)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 清朝 / 包衣 / 内務府 / 王府 / 八旗 / 旗王 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,清朝(1616~1912)の八旗において「包衣」と呼ばれた家人身分の人びと・組織を取り上げ,旗人社会におけるかれらの存在意義・機能を分析し,清朝政権をどのように特色づけていたのかを明らかにする。明朝(1368~1644)と異なり清朝では,皇帝・皇族の近侍者の役割を宦官ではなく主に包衣が担い,側近としての側面が注目されている。しかし従来は皇帝直属の上三旗包衣(家政機関である内務府の包衣)の研究が中心であり,旗王(有力皇族)らの下五旗包衣(王府の包衣)は,零細・卑小な存在として等閑視されてきた。本研究では,八旗の包衣およびその組織の全体像を把握し,清朝の重要な特徴の一つとして位置づける。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,清朝(1616~1912)の支配層である旗人社会において,「包衣」と呼ばれた人びと・組織がいかなる存在で,いかなる機能を果たしていたのか,という点を明らかにすることである。 2023年度は研究1年目ということもあり,清朝の内務府(上三旗)・王府(下五旗)の包衣,それらと密接に関連する清朝政治史の各種史料集・研究書を積極的に購入し,当該分野の先行研究に関しての整理・概観をあらためておこなった。なお,本研究で対象とする包衣とは,清朝の軍事・社会制度である八旗に所属してその戸籍を有する「旗人」の中で,ある特殊な階層に属する人びとの総称である。そのため,包衣を対象とする研究は,政治史研究の中でもとりわけ八旗の研究と密接に関連する。そこで本年度では本邦の八旗研究の整理と回顧もおこなったが,その過程において内務府・王府の包衣に関する研究の不足があらためて確認された。 実際の史料に基いて進めている本研究では,従来の研究において家人・近侍をまとめた上で曖昧に括られる傾向にあった「包衣」という存在について,あらためて腑分けをおこない,その区分を試みている。たとえば,内務府や王府の附属官を多数輩出したり,包衣ニルを統括する佐領ポストを代々世襲したりするような家系の包衣(上位の包衣)と,それ以外の単なる労働力や使用人としての包衣(下位の包衣)とを区別した。その上で,とくに前者の包衣についていかなる氏族・包衣が存在するのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一段階の作業は,【包衣の区分】である。その手始めとして,包衣を大きく二つに区分した。 まず,一族から内務府や王府の附属官(長史,護衛・典儀など)を多数輩出したり,包衣ニル・ホントを統括する佐領・管領ポストを代々世襲したりするような家系の包衣(上位の包衣)である。ついで,それ以外の単なる労働力や使用人としての包衣(下位の包衣)である。両者のように包衣に区別があることを,網羅的に史料に当たり明らかにすることができた。 また並行して,清朝の内務府・王府の包衣に関連する清朝政治史の各種史料集・研究書の購入および先行研究の整理をおこない,当該テーマの不足点を把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究計画に基づいて研究を進めていく。次年度は,【上三旗包衣と下五旗包衣との比較】をおこなう。 これまでの先行研究においては,包衣を単なる家人として軽視する研究だけではなく,主人(皇帝や宗室王公)の側近的要素を評価する研究も存在する。しかしそのほとんどが,皇帝属下の上三旗(内務府)に所属する特定の包衣やその一族に関心が集中している。これは,上三旗包衣に関する史料が圧倒的に豊富であるという現状が主たる理由であるが,その結果,研究者の関心や先行研究の蓄積については,上三旗包衣への偏在が著しい。 一方,宗室王公属下の下五旗包衣については,史料・関心の欠如もあって等閑視され,先行研究がきわめて手薄である。その結果,上三旗包衣・下五旗包衣双方の比較検討をおこない得る段階には達しておらず,八旗内における包衣全体の位置づけもまた為されていない。 以上の現状に鑑みて,本研究では上三旗包衣だけではなく,下五旗包衣に関する諸史料も収集してそれらを考察し,上三旗包衣との比較をおこなう。
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