Project/Area Number |
23K00880
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今松 泰 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任准教授 (80598938)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | イスラーム / 聖者 / 聖者信仰 / 聖者廟 / 参詣 / 伝承 / サル・サルトゥク / バルカン / 聖者崇敬 / アナトリア / オスマン帝国 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、オスマン帝国領、就中アナトリアとバルカンにおけるイスラーム聖者とその墓廟をめぐる信仰のありようを解明するものである。 具体的には、サル・サルトゥクという聖者を取り上げて彼に関する文献を収集・分析し、同時にアナトリア・バルカンの各地に存在する、彼のものとされる墓廟を調査する。 文献研究によって彼に関する言説の歴史的変容を解き明かし、墓廟の現地調査を行うことで、歴史的・宗教的に異なった背景を持つ両地域におけるサル・サルトゥク信仰の実相を明らかにする。 歴史的変容と地域的特徴を、差異と一致に注目しつつ問題とすることで、聖者信仰の諸相と現代に至る受容のあり方の多様性を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度、交付申請書記載の研究計画に従い、(A)関係する文献の収集と分析を行い、(B)バルカン半島の各地で調査を行った。 8月から9月にかけて、ルーマニアのババダグ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのブラガイ、コソヴォのペーヤ(セルビア語:ペーチ)、アルバニアのクールヤ、北マケドニアのオフリドに存在するサル・サルトゥクの墓廟および関連施設を調査し、文献を収集した。さらにババダグ、およびボスニア・ヘルツェゴヴィナのトラヴニク、カチュニ、ヴケリチにおいて、サル・サルトゥク以外の聖者廟、スーフィー教団施設、宗教行事の調査を行った。またギリシアのテッサロニキ、トルコのイスタンブルにおいて、関連文献を調査・収集した。 2月から3月にかけて、ドイツのベルリン、フランスのパリにおいて、関連文献を閲覧・収集した。ベルリンではアレヴィーの施設を訪れ調査を行った。 帰国後、収集した文献の整理を行い、分析に取り掛かった。1月26日には京都大学人文科学研究所「アジアにおける宗教諸文化の越境波及と「地域」創造」研究班において、「バルカンにおけるサル・サルトゥク廟」と題する発表を行った。 バルカンでの墓廟および関連施設調査の結果、現時点において、以下のことが確認された。(1)史資料における記述には見られない、独自の伝承を有する場合があること。(2)各地でサル・サルトゥク崇敬と参詣のあり方に以下①から④の如く違いが見られること。(①多くの人が存在を知らず、ほぼ参詣現象が見られない墓廟、②近年整備されたものの、ほぼ参詣現象が観察されない墓廟、③多くの人に知られているが、特定の集団によってのみ参詣される墓廟、④サル・サルトゥクの痕跡が見られない宗教施設)(3)(2)と関連して、人々がサル・サルトゥクをどのように認識しているかについては、歴史的経緯、社会状況によって、各々違いが存在すること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した本年度の計画を実施できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、ブルガリアおよびトルコ各地での調査とともに、さらなる史資料の調査・収集を行う。同時に、収集した文献の分析を継続する。 さらに本年度の調査を加えた上で、研究作業をまとめて、学会、研究会などで口頭発表を行い、研究を進展させる。
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