The Military as an 'Emotional Community': Masculinities in Britain during the Second World War
Project/Area Number |
23K00896
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
林田 敏子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10340853)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2027: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 西洋史 / イギリス史 / 第二次世界大戦 / 軍隊 / ジェンダー / マスキュリニティ |
Outline of Research at the Start |
本研究はR・コンネルが提示した「多様なマスキュリニティーズ」という概念を、第二次世界大戦中、前線に展開したイギリスの軍隊という歴史的空間のなかで検証することを目的とする。マスキュリニティという概念がもつ歴史性を明らかにすることで、大戦がイギリス社会の戦争観、ジェンダー観、家族観に与えた影響を戦後も含めた長期的スパンで考察する。本研究ではとくに過酷な戦場のなかで兵士が直面したエマスキュレーション(マスキュリニティ喪失)の危機と、前線と銃後の感情的な結びつきや対立、葛藤を通して、兵士のマスキュリニティが現代戦にいかに適用可能な形で再構築されたのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はR・コンネルが提示した多様なマスキュリニティ(男性性)という概念を、第二次世界大戦中、前線に展開したイギリス軍という歴史的空間のなかで検証することを目的としている。研究初年にあたる本年度は、マスキュリニティをフェミニニティとの関係性のなかで概念化することを試みた。複数の男性性、トランスジェンダーの男性性と女性性、女性の男性性という3つの論点を抽出し、その研究成果を「男性性(マスキュリニティ)/女性性(フェミニニティ)」(ジェンダー事典編集委員会編『ジェンダー事典』丸善出版、2024年)として発表した。また、マスキュリニティという概念の歴史的構築性については、国民国家が形成される前の近世からポスト国民軍の時代である現代までを射程にいれた「「男性」もつくられる―軍隊とマスキュリニティ」という論考(三成美保他編『〈ひと〉から問うジェンダーの世界史』大阪大学出版会、2024年所収)にまとめた。 本研究は「兵士が勇敢に戦う」という伝統的なイメージから乖離した現代戦において、兵士たちが恐怖や喪失感といった負の感情と向き合いながらいかにマスキュリニティを保持 / 構築したかを、銃後とのつながりに焦点をあてながら考察しようとするものである。兵士と家族の間で交わされた手紙や日記などのエゴ・ドキュメントの分析を通して、前線と銃後の感情的結びつきや循環性を明らかにすることで、前線と銃後のジェンダー化(前線=男性的なるもの、銃後=女性的なるものととらえる発想)や心理的断絶を前提とする研究のあり方に一石を投じた。以上の研究成果の一部を、「第一次世界大戦と女性」(山口みどり他編『論点・ジェンダー史学』ミネルヴァ書房、2023年)、「女性の軍事動員と主体性」(日本平和学会編『平和学事典』丸善出版2023年)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は夏季休暇中にイギリスのサセックス大学にあるMass Observation Archive(The Keep)での調査(第二次世界大戦期に立ち上げられた社会調査組織が収集したエゴ・ドキュメント、各種報告書)、The National Archivesでの公文書調査(陸軍省および情報省関連文書)を予定通り実施することができた。ただ、予備調査時には把握できていなかった膨大な史料を新たに発見したため、帝国戦争博物館でのPrivate Papersに関する調査は最小限に縮小せざるを得なかった。また、イギリス女性史研究会、京都大学人文科学研究所研究班「人物で見る第二次世界大戦」で研究成果の一部を発表する機会を得るとともに、他の研究者との議論を通して今後の研究の指針となる重要な論点を見出すことができたため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、①軍隊のなかの多様性、②「弱き男」とエマスキュレーション、③前線と銃後を横断する「感情の共同体」という三つの柱で構成されている。今後はまず、①軍隊のなかの多様性について明らかにするために、陸軍の男女混成防空部隊を対象に、迎撃という軍事行動がもたらした軍隊秩序の揺らぎについて分析する。そのさい、考察の対象を軍隊内に限定するのではなく、軍隊の「そと」からのまなざしにも着目したい。具体的には、「男の領域」に進出した女性にどのようなイメージが付与されたのかを、Mass Observationの世論調査報告書の分析を通して探るとともに、軍隊のなかの女性にどのような「分断」がもたらされたのかを考察する。③前線と銃後を横断する「感情の共同体」については、銃後から見た前線の一端を明らかにするために、兵士に宛てて書かれた手紙や銃後の困難を綴った日記といった同時代のエゴ・ドキュメントの分析を試みる。とりわけ「感情の共同体」の成員が検閲や郵便の遅延といった障害をいかに乗り越えようとしたのかに焦点をあてることで、国家を迂回する感情的結びつきが戦時に有した意味について考察したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Book] ジェンダー事典2024
Author(s)
ジェンダー事典編集委員会
Total Pages
800
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621308875
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[Book] 平和学事典2023
Author(s)
日本平和学会
Total Pages
778
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621308080
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