Project/Area Number |
23K00924
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
石井 友菜 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00849755)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 古墳 / 石製品 / 実験考古学 / 横軸ロクロ |
Outline of Research at the Start |
本研究が対象とする石製品は、碧玉や緑色凝灰岩、滑石で器物を模した儀礼具の一種で、主に古墳時代前・中期の墳墓に納められる。これらがどのように生産され、流通したのか、その背景に倭王権や地域の首長がどのように関与したのかが、古墳時代社会の研究における重要な論点となっている。石製品の生産体制を検討するにあたって、とくに石材を刳り貫く穿孔技術は重要視されてきたものの、いまだその実態は分かっていない。そこで本研究では実験考古学的手法を用いた石材の穿孔実験を行い、その結果を実物の古墳出土資料と比較し、古墳時代の石製品がどのような技術によってつくられたのかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に古墳時代前期に用いられた副葬品である石製品の製作技術、とくに穿孔技術の解明を目指すものである。本研究の手法は、補助事業期間である3カ年の間、(1)実物の石製品の観察成果や後世の絵図や民具などの参考資料をもとに穿孔具を復原し、穿孔実験を行う、(2)穿孔に成功した実験製作品について、三次元計測と画像解析を組み合わせた定量分析によって形状を解析する、(3)実物の考古資料の観察・分析結果と製作実験の結果を対比し、両者の間にみられる差異、もしくは共通点について、その理由を考察する。という3つの工程からなる。 本年度は主に(1)を重点的に進めることを目的とし、参考資料の収集、穿孔具の復原、穿孔実験を行った。本年度はとくに先行研究において注目されている「横軸ロクロ」について、近年の実験考古学的研究の成果や民具の研究成果を参照しながら実際にロクロを作成し、緑色凝灰岩、滑石を対象に穿孔実験を行った。この結果、穿孔自体は可能であったものの、想定よりも石材の質や硬さ、厚さ、固定方法、ロクロの重量や安定性、穿孔対象に対しての鉄製工具のあて方など様々な要素によって穿孔形状にバラつきが生じることが判明した。また、実験成果品の形状を実物の考古資料と比較した際、似た形状になる場合と、まったく違う形状になる場合の両方が確認できた。 次年度はこれらの成果をふまえて再度実験条件を検討し、穿孔実験、および実物考古資料との比較を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
助成初年度となる本年度は、まず研究環境の整備として、穿孔実験に必要な石材や器具の準備を行った。また実験製作品と実物の考古資料とを定量的に比較するために使用する三次元計測機器や計測・分析の方法について、専門家の助言を仰ぎながら検討した。つぎに、民具や絵図、古文献などに登場する穿孔具の情報を収集し、先行研究を参照しながら、実験用の穿孔具を試作した。この穿孔具をもとに緑色凝灰岩、滑石等の石材に対して穿孔実験をおこなった。実験中では、穿孔具のサイズや重さ、石材の硬度や質を変化させ、生じる製品の差異についてデータの取得を進めている。このように、本研究の主軸となる実験自体については順調に進めている状況である。 しかし、年度途中に発生した災害により、実験結果をふまえておこなう予定であった実物の石製品の実見調査を実施することができなかった。このために、実物資料との対比をふまえての穿孔実験手法の再検討、および実験の実施をすることができず、想定していた年度内の研究計画の一部を完遂することができなかった。 このような事情から、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の実験結果と考察をふまえ、令和6年度はじめに年間の実験計画を立案し、その計画に沿って実験を進めていく。とくに令和5年度に明らかになった、石材の質や硬さ、厚さ、固定方法、ロクロの重量や安定性、穿孔対象に対しての鉄製工具のあて方といった諸条件による形状への影響について、現存の民具や石材加工技術などの情報をもとに仮説を立てながら重点的に検討していきたい。 併行して、各地の機関に所蔵されている実物資料の実見調査および三次元計測等を行い、実験製作品と比較するためのデータの蓄積を続けていく予定である。
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