Project/Area Number |
23K00935
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
畑 大介 帝京大学, 付置研究所, 研究員 (00620866)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 治水 / 河川堤防 / 検地帳 / 地中レーダ探査 / 信玄堤 / 戦国期 |
Outline of Research at the Start |
武田信玄が構想した信玄堤に伴う治水施策を実証的・総合的に調査・研究して、その実態を把握し、特徴を明らかにすることを目的とする。信玄堤はどのような施設であったのか、またそれを築造し維持したのはどのような人々であったのかを究明する。そして当該期の治水事業や施設の情報を全国から収集して比較し、特徴を抽出する。 信玄堤の構造を把握する方法としては地中レーダ探査を実施し、関係する文献史料や絵画資料と照合して、修復・破損の状況や構造変遷をつかむ。信玄堤を造営した人々の動向については、堤防の川裏側に造られた竜王河原宿を対象とし、検地帳などから治水技術者でもあった宿住民のあり方を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたるため、まず信玄堤に関係する文献のリストアップを行った。武田氏によって信玄堤の維持・管理のため川裏側につくられた龍王河原宿(後の龍王村)の土地区画や水路の状況を探るため、法務局で明治期の旧公図を複写した。かつて存在した信玄堤に関係する周辺の堤防がこの旧公図にどのように表現されているかも試行的に調査した。さらに龍王村の慶長8年(1603)の検地帳を複写して判読し、生産域と名請人の一覧表を作成した。これは田畑の開発過程や、治水技術者としての側面をもつ住民の動向を探るための基礎作業である。 8月には山梨県内の研究協力者を招集して研究会を開催し、役割分担や今後の進め方について話し合い、研究代表者が信玄堤の研究史について報告した。翌9月には歴史地理を専門とする研究協力者を招いて関係箇所を巡り、研究の手法や進め方についてアドバイスをいただいた。2月にも県内研究協力者研究会を開き、旧公図の活用の方法や有効性について検討し、信玄堤が部分決壊した明治29年の水害について研究協力者が発表した。 この科研では信玄堤の特徴を明らかにするために、全国の戦国期における治水施設の発掘事例や治水事業の情報を収集している。今年度は、信玄堤と並び称される熊本の加藤清正に由来する治水施設の研究状況を熊本県立図書館で調べた。清正の治水事業は伝説に彩られているが、考古学分野で進展があり、実際に清正やその子の時期に施工された治水施設があることがわかった。 次年度には公園内の信玄堤推定地において地中レーダ探査を実施するため、国・県・市の公園管理担当者と打ち合わせを行った。いつ、どの地点で探査を行うとよりよいデータが得られるか検討するために、一年をとおしての草刈りの状況を現地で観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関係文献のリストアップは大方完了したが、その中には一部入手していないものもあるため、引き続き収集を進めたい。 龍王村の検地帳については、集計まで終了し、情報を集約・整理して分析を加える段階となった。明治期の旧公図活用の取り組みでは、龍王河原宿の地割等を把握し、富竹新田や篠原(ともに甲斐市)、鍛冶新居(中央市)などで、旧堤防の一部を確認した。 全国の戦国期における治水事業の調査については、今回熊本の加藤清正に関する調査を行い、研究状況を把握した。 次年度に行う信玄堤の地中レーダ探査の時期と地点、及び調査方法は、ほぼかたまってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
龍王村は武田氏による計画的移住によって原形がつくられ、信玄堤の維持・管理を担ってきた点が他村とは異なるが、それが検地帳にどのように反映されているか検討するためには篠原村や西八幡村(ともに甲斐市)などの隣接村の検地帳も調べて比較する必要があることがわかってきた。また、次年度は押越村・飯喰村(ともに昭和町)等の検地帳に載る堤防関係地名をマイクロフィルムで確認し、信玄堤下流域の築堤状況の把握に活かしていきたい。 明治期の旧公図で確認できた旧堤防については、旧公図をさらに集めて全体像を捉え、機能や築堤時期などについて検討していく。 全国の戦国期の治水施設・事業の調査については、佐々成政による佐々堤(富山市)や後北条氏による関東の治水施策などの研究状況を調べたい。 信玄堤の地中レーダ探査は、堤体の内部構造の情報収集を目的とするものであるが、これに加え、このような河川堤防に対して、どのように測線を設定したら多くの情報が得られるが検討する機会としたい。2025年度に向けて、信玄堤以外の地中レーダ探査地点の選考も進める。
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