Project/Area Number |
23K00957
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03070:Museology-related
|
Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
関根 理恵 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (90709304)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 武力紛争 / 文化遺産保護 / 第二次世界大戦 / 国際連盟 / UNESCO / 戦時国際法 / 戦時禁制品 / 局外中立 / cultural heritage / 文化政策 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第二次世界大戦期における文化遺産保護政策をモチーフとし、国連公文書および当時の戦争当事国および国際連合軍等の当該部局などで作成された内部記録等、歴史的一次資料を精査し事実を確認するとともに、実情を把握し、整理分類をするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
第二次世界大戦期の史料は,いまだ未整理である。本研究では,国際連合軍および紛争当事国に残る一次資料を中心に,第二次世界大戦期の文化遺産保護の状況を整理し,その実態を把握することを目標とする。まず手始めに,武力紛争下における文化遺産保護に関する法令政策の歴史的発展経緯等を整理し、その後、現在,国連における当該問題を扱うUNESCO における第二次世界大戦への対応について,UNESCOやLN(国際連盟)所蔵の一次資料を精査し,実施された専門プログラムおよびそれら成果物をたどりながら,その動向を整理した。 研究の結果,局外中立施策が,当該分野において国際社会における慣習法として成立し,18 世紀末頃から武力紛争時における文化遺産保護に関する施策として効用があったことがわかった。またロンドン宣言では,当事国以外の国々が当事国に対し取るべき施策措置として,実態に即し運用できるよう,戦時の文化遺産の保護として禁制品の対象に文化遺産が明記された点を指摘した。 また,現在,UNESCOは文化遺産保護政策の中心的役割を果たしているが,UNESCO内の担当部署および職掌,プログラム等を整理した結果,創設期から組織の中長期計画立案をしていた初期始動段階では,ほとんど具体的な対処がなされていなかったことがわかった。先行研究(J.Toman や P.J. Boyan ,R. O’Keefe ,F. Francioni)に準拠し,一次資料精査および分析、整理等を試みたが,UNESCO の創設期から初期始動段階の1948 年までは,文化遺産保護に関する事項について戦後処理に関する施策・措置はほとんど行われておらず,また,UN と連携した文化遺産保護事業もなく,LN時代の専門的な施策・措置も引き継がれず、継続的に活動しているような状態ではなかったということが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究計画に沿って,基礎研究として先行研究の分類および分析, UNESCOパリ本部での調査を実施した。UNESCOでは, ArchivesのArchivistと所蔵資料についてディスカッションを行い,その後,自身の分類および分析に基づき,重要度の高い一次資料の精査を行った。今回の精査では,LN(国際連盟)特にIMOとUNESCOの創設期の一次資料調査を実施した。その後,調査によって取得したデータの精査解読,事実確認および分類,整理等を行った。 その他,基礎調査によりその存在が確認できたフランスにおける武力紛争下に略奪,強制移動等をされた美術工芸品に対する施策・措置に関する重要な一次資料の精査を行った。2023年度夏に予定していた調査が一部延期になったものの,一方で,2023年度末には,ヨーロッパにおける各国の第二次世界大戦期(1939-1974)の文化遺産保護政策,および,ヨーロッパにおける戦争当事国と国際連合軍との連携,戦後処理,追跡調査等の一次資料の整理分類を進め,資料精査を着手することができた。 また、米国内のUN-A(国際連合軍)の一次資料の所在確認を行い,次年度以降の調査に向けた整理分類等,基礎調査等の準備を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
フランスのCentre des Archives diplomatiques de La Courneuveの調査にて,1944年に組織化された芸術復興委員会(CRA)の一次資料が所蔵されていることを確認した。(当該委員会は,1944.11.24にフランス美術館館長ジャック・ジョジャールの要請により国民教育大臣ルネ・キャピタンの命で設立された。)これら資料群は,第二次世界大戦期下での文化財保護の状況をつぶさに記録したものであり,資料価値が極めて高い。国立美術館最高評議会副会長であったアルベール・アンロー(1881-1953)が委員会の代表を務めた。上記の一次資料の精査および分析によって,専門家が戦時下の文化財保護政策にどのようにかかわったのか,また,実際の施策・措置の内容を明らかにしたい。同様に,1917年7月2日および1919年12月30日の政令により,財産が敵の手に渡った民間人および法人の申告を収集・調査するために設置された私有財産・利益庁(OBIP)の資料も確認し、第二次世界大戦期にOBIPは外務大臣の監督下に置かれていたこと,1939年10月1日と11月20日の政令に基づき活動をしていた施策の存在を本研究により明らかにした。今後は,1944年11月13日付法令,1945年4月16日付命令,1946年6月22日付法令に基づいて実施された施策・措置について,実際にパリ解放後,対戦国によって国外に移された略奪財産の申告を集め,調査する責任をどう果たしたのかを明らかにしたい。また,それらの調査によりフランスが国際連合軍の政策,施策・措置とどのような関係にあったのか,そして,フランス以外の当事国のイギリス,アメリカ,ドイツ等が,戦後直後,戦後処理期・戦後復興期に,具体的にどのような政策,施策・措置を行っていたのか,その実情を明らかにしたい。
|