Project/Area Number |
23K00970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鄒 青穎 弘前大学, 農学生命科学部, 講師 (40750055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 陽祐 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20611601)
小岩 直人 弘前大学, 教育学部, 教授 (70296002)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 斜面崩壊 / 地質構造 / 地形特徴 / 豪雨 / 地形発達 / 地形発達史 / 地質 / ハザードゾーニング |
Outline of Research at the Start |
記録的豪雨により深刻な土砂災害が頻発しており,現在の技術で個々の発生場所を特定することが難しい場合が多い。本研究は,豪雨による斜面崩壊ハザードゾーニング評価手法を,近年の寡雨地域における斜面崩壊発生場の地形・地質的特徴を明らかにすることによって,潜在的な発生場所の抽出への見通しを立て,それに,地形発達史的視点を加え構築しようとするものである。さらに,この結果を実用可能とするため,結果に基づき危険箇所の情報を地図に示したハザードマップを作成し,その活用手法を呈する。
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Outline of Annual Research Achievements |
青森県下北半島北部の焼山崎周辺では,2021年8月豪雨により火山麓扇状地の段丘崖で斜面崩壊が多発した。この地域において,地形・地形調査や電気探査を行った。段丘崖は高さが約50mあり,その下には火山麓堆積物が厚さ3~10mであり,その下部には菅ノ尻凝灰角礫岩や大畑層が分布している。火山麓堆積物には,安山岩溶岩の岩塊や礫,そしてその細かい物質が含まれており,礫の隙間は基質で埋められている。また,火山麓堆積物には岩屑なだれ堆積物も含まれており,一部は上位の沖積堆積物で覆われている。崩壊源頭部では,岩塊や礫の隙間,そして透水性の異なる堆積物部分が地中で侵食されて空洞が形成され,そこから湧水が噴出し,崩壊を引き起こしたと推定されている。一方,火山麓堆積物の下部にある凝灰角礫岩の風化部や大畑層を覆う礫層や崩積土で発生した崩壊も見られた。4地点での比抵抗探査の結果から,比抵抗のプロファイルには,比抵抗境界に凹凸があり,高比抵抗の領域が分布している。これらの特徴は,堆積物の粒度分布や水平方向の不均質を反映している可能性がある。 さらに,2022年8月の豪雨による青森県深浦町田野沢地区の海岸段丘での斜面崩壊に関する調査では,現地調査,粒度試験および室内での飽和透水試験を実施した。調査結果によれば,崩壊源頭部には主に海成段丘堆積物が観察された。この堆積物には粗粒分が多く含まれており,透水性が高い特徴がある。また,この海成段丘堆積物の下には透水性が低い岩盤が存在している。透水性の違いにより,豪雨が岩盤に十分に浸透せず,代わりに境界付近を流れていくと推定される。この流れが地下の空間を侵食し,パイピング現象が発生し,崩壊が引き起こされたと考えられている。さらに,崩壊が集水地形を有する谷筋に位置していたことも確認された。この地形条件により,表面水や地下水が集水しやすくなり,崩壊の一因と考えられます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標である研究計画はおおむね達成できており,2年目に実施する調査地域を対象とした研究についても準備が進んでいる。また,研究の一部は終了し,論文が投稿できる状態に進んでいる。おおむね順調とした理由は,年代測定結果や比抵抗探査結果に関する確認・検討が追加の地質調査が必要であることにある。
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Strategy for Future Research Activity |
崩壊発生場の抽出とそのタイプ分けは,画像解析によって完了した。土層の透水性は室内透水性試験によって測定された。また,4地点における電気探査では,二次元の比抵抗分布が計測された。今回の4地点とも,深度5mまではおそらく不飽和状態であるため,大まかな比抵抗の鉛直プロファイルには堆積物の粒度分布が反映されている可能性がある。地層の特性をより詳しく理解するためには,追加の地質調査が必要である。一方,地形発達史を構築するためのテフラの採取と年代測定も行われたが,長期の地形形成過程を検討するにはさらなる調査が必要である。これらの取り組みは今後の課題として取り組まれる予定である。
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