Project/Area Number |
23K00974
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄 建治朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40283478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野 美夏 統計数理研究所, データ科学研究系, 特任助教 (40376968)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 古天気 / 気象観測原簿 / 重複率 / 詳細率 / 日記天気記録 / 古気候復元 / 定量化 / 近世小氷期 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,古日記の天気記録を用いた近世小氷期以降の気候復元を高度化するため,「人は天気(降水現象など)をどのように認識し記録するのか」という問いを突き詰め,日記天気記録を定量化する手法の開発を行う。そのために,気象観測記録と期間重複する明治・大正時代と現代の日記天気記録を収集整理し,降水量,雲量,日射量等の日別または時別の観測データとの対応関係を詳細に分析する。そして,天気記録の「詳細さ」を指標として,記録者による日記の天気判断基準の差異を補正することにより,記録者や記録期間の異なる多数の古日記天気記録を接続し,近世小氷期以降の数百年間にわたる気候復元を高度化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、まず前年度までに蓄積したデータに追加する形で、照合する古天気記録と気象観測データの整備を進めた。気象観測データについては、国立情報学研究所で運営するウェブサイト「デジタル台風」の歴史的データアーカイブで手書き気象観測原簿の画像データを閲覧しながら観測データをデジタル化する作業を進めた。対象地域は近畿(京都)および東京周辺とし、京都・大阪・彦根・東京の日別または時別(4時間ごと)の降水量・雲量・日照時間データの入力を行った。古天気データについては、明治・大正期の12日記について毎日の天気に関する記述を抽出整理するとともに、人文学オープンデータ共同利用センターが運営する歴史資料に関する知識と経験の共有システム「れきすけ」への登録を行った。 続いて古天気記録と気象観測データとの照合を行ったが、その際に「詳細率」と「重複率」という2つの指標を定義し利用した。「詳細率」は、天気記録の詳細さの程度を数値化したもので、日記に降水が記録される閾値と強い負相関が認められた。この関係を用いれば、日記による降水記録の閾値の違いを調整し、複数の天気判断基準の異なる日記を接続することが可能になると考えられる。「重複率」は、2つの天気カテゴリーに対応する気象変数の分布が重なり合う部分の割合で定義され、天気記録と気象要素との対応関係の強さを表す。この指標を用い、時間帯別の降水量および雲量のデータと比較したところ、日記の降水の有無の記録は主に昼間の状況を反映しているが夜間の状況も一定程度反映していること、「晴」と「曇」の記録は昼間の雲量と対応が良く夜間の状況はほとんど反映していないことなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、古天気記録の収集整理、明治・大正期の手書き気象観測原簿データのデジタル化、天気記録と気象観測データの対応関係の検討、日記天気記録の定量化手法の開発、の手順で進める計画であるが、古天気記録の収集については、対象地域の東京及び京都周辺で所在を確認している日記については概ね収集が完了し、定量化手法の検討に向けて天気記録をコード化する基準について検討中である。手書き気象観測原簿データのデジタル化についても、対象地域の気象官署における降水量と雲量の4時間毎のデータと日照時間の日別のデータについては概ね完了した。天気記録と気象観測データの対応関係の検討については、対応関係の程度を表す指標として「重複率」を導入し、天気記録を2つの天気カテゴリーに分けた場合に最も反映する気象変数の探索を進めているところである。天気記録の定量化手法の開発については、日記記録者間の天気判断基準を調整する指標として「詳細率」を導入し、日別の降水量に関してこの指標を用いることが有効であることを確認した。3年計画の1年目としては概ね順調な進捗状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
日記記録者間の天気判断基準の差異を調整するため、天気記録に詳細な天気が記載されている割合として「詳細率」を定義し、これを用いて日記の降水記録を日降水量1mm以上の降水出現率に換算する手法について検討したが、今後は晴天・曇天記録を日照時間または日射量に換算する手法について検討する。その際、詳細率の定義を降水率出現率の推定を目的とする場合とは異なるものにするのが適切と考えられる。目的に応じてどのような詳細率の定義が適切かを検討するため、各日記の天気記録について「風」「雷」を考慮する場合、「快晴」を考慮する場合など、数通りの詳細記録コード化を行い、降水量や日照時間の観測データとの対応の程度を調べる。また、天気カテゴリーごとの気象変数の相対度数分布の重なりの程度として定義した「詳細率」を用い、天気記録に最も反映されている気象変数の探索を行うとともに、日別、旬別、月別など、天気記録を集計した時間単位ごとに精度評価を行い、天気記録の時間分解能について検討する。対象地域の古天気データ収集については概ね終了しているが、解析に適した新しい日記が見つかった場合には、追加の天気記録の入力整理を順次進める。
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