Project/Area Number |
23K01018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
伏木 香織 大正大学, 文学部, 教授 (30436696)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | シンガポール / 陰暦7月 / COVID-19 / 儀礼の変化 / コミュニティ / インドネシア / ワヤン・ポテヒ / 宗教的儀礼 / 祭祀芸能 / 東南アジア / コミュニティ・ネットワーク / 移民 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、儀礼と祭祀芸能を担う人々のコミュニティとそのネットワークの概要と詳細を明らかにし、その実践のなかで人やもの(物理的なモノと知識等の情報、暗黙知として伝わる技術や技能等)がどのように繋がっているのかを明らかにすることである。所在地やルーツなどの地縁、血縁等の前提を設けずに、マルチサイトで同時並行的な調査を行い、新たなつながりのきっかけや動機をみいだし、それぞれのコミュニティの成り立ちと関係性を明らかにすることを通して、多層化する社会で多様な人々がどのように儀礼や祭祀芸能を共有するのか、その過程の一端を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、シンガポールにおける現地調査、ならびに国外での研究発表(AAS-in-Asia)を実施し、その成果の一部を紀要論文「COVID-19パンデミック下/後の中元節儀礼――シンガポールの場合」として発表した。 シンガポールでは主として陰暦7月の儀礼に関する調査を行い、COVID-19のパンデミックを挟んでその前後における儀礼やコミュニティの変化を探った。儀礼の実施にあたり大きな影響を受けなかったコミュニティがあった一方で、儀礼の規模や実施方法が大きく変わった寺廟コミュニティがあったほか、コミュニティのありかたそのものが変わろうとしているところやコミュニティが解消するような事例が見られた。さらにコミュニティの儀礼の消失をめぐって、あらたな関与者が登場し、その実践と記憶を引き継ごうとする姿を見ることとなった。このような多種多様なコミュニティの関係性について、ある程度の類型化をしながら整理できたのが2023年度の成果である。 インドネシアにおける華人系の寺廟と芸能のコミュニティの研究に関しては、インドネシアの寺廟で上演される芸能ワヤン・ポテヒ(人形劇)から、宗教的な側面が失われた/失われつつある点について学会発表を行なった。これまでワヤン・ポテヒには宗教性がないという研究者もあったが、実のところ、宗教性がなかったわけではなかった。しかしながら、インドネシアにおいては宗教性を捨てなくてはならなかった/秘匿しなくてはならなかった歴史的側面があり、それらが秘匿している間に完全に失われた場合があることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の調査では、シンガポールの陰暦7月の儀礼において、COVID-19のパンデミックの影響がかなり広範に見られたことから、COVID-19以前とパンデミック下、パンデミック後の時期的な変遷を追い、そのなかで寺廟コミュニティや信者たち、芸能者たちの関わりがどのように変化したのかを把握することに努めた。 その結果は2023年度末に紀要論文「COVID-19パンデミック下/後の中元節儀礼――シンガポールの場合」としてまとめ、公表した。 また2023年度には、これまでに研究してきたNine Emperor Gods Festivalについて、研究チームの公的な研究成果本がようやく出版されたことから、この出版記念会において多くの寺廟関係者と再会することができ、寺廟コミュニティ間の交流を再確認することができた。本件については、2024年度に論文にまとめて発表する予定であり、2025年度以降に再調査を予定している。 さらにインドネシアにおいては、COVID-19後、ようやく主たる調査対象となる寺廟を訪問することができ、今後の研究調査の予定を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、シンガポールで10年に1度実施される大規模な儀礼(亡者・病人救済のための目連戯を含む)が実施されるため、主としてこの大規模儀礼について調査研究を行う予定である。寺廟運営コミュニティと連携して、中国から渡航してくる宗教者たちと現地の宗教者たち、中国から渡航していくる戯劇の担い手たちと現地の芸能関係者、寺廟運営コミュニティと儀礼に参加するシンガポール国外以外からの参加者たちが、それぞれにどのように儀礼に関係しているのかを明らかにしたい。儀礼の詳細ならびにコミュニティの歴史的研究については、現地の大学・研究者と連携して研究を進める。 またシンガポールの陰暦7月の儀礼に関しては、継続して調査を進める。2023年度の調査で明らかになったように、COVID-19のパンデミックの影響により、寺廟コミュニティと儀礼は大きな変化を被ったが、それらがどのように変化していくのかを経過観察し、その上で知識と技術はどのように継承されるのか/されないのかについて検討する。こちらも一部寺廟コミュニティの研究においては、現地調査者と連携し、協力して調査を実施する。 同時にNine Emperor Gods Festivalの研究では、寺廟間のコネクションのあり方に着目してインタビュー調査等を進める予定である。 なお、現地での連携研究に関してはすべて、すでに2023年度中にミーティングを実施済みである。
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