Project/Area Number |
23K01033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松嶋 健 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (40580882)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 山地酪農 / ゾミア / ヨーロッパ / 北海道 / パストゥール化 / ミクロ・バイオポリティクス / ゾミア的生業 / 自由 / 日本 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ヨーロッパと日本における山地酪農を、現代国家の外部における「ゾミア」ではなく、国家内部における「ゾミア的生業」と捉えることで、 穀物生産を基盤にして誕生し、現在では都市における賃労働を基盤としている国家の統治との関係のなかでの自由の問題として考察しようとするものである。 哺乳類である人間が別の動物の乳に依存する牧畜という生業形態に関する人類学的蓄積をふまえながら、マルチスピーシーズ民族誌など近年の人類学における「人間を超える」視点を取り入れつつ、そこでは十全には考察されてこなかった人間の自由の問題について、人間以外の存在との絡み合いのなかで考察しようというのが本研究の概要である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、酪農と牧畜に関する人類学を中心とする先行研究、ゾミアについての歴史学や政治生態学的研究、コロニアリズムとフードスケープにまつわる研究、微生物生態学の分野、および微生物に関するマルチスピーシーズ人類学関連の文献を中心に研究を行なった。とりわけ、「社会」と「自然」双方の「パストゥール化」についての理解を深めることで、これまで行なってきた多様な「施設化」や「実験室化」の問題との深い関連を捉えることが可能となる視座が浮かび上がってきた。この視座は、細菌学を中心とする生物学および生物医学と公衆衛生の連携という側面からの「近代」のパラダイムの再考という問題系とつながっており、微生物による発酵と腐敗の検討を手がかりとして、「思考する存在」「理性的存在」という抽象化され孤立化させられた近代の「人間」像を、具体的な「食べる存在」「排泄する存在」であり、代謝を通じた「循環のなかの存在」として新たに「人間」像を描き直す作業としても進めている。 COVID-19のパンデミックを経験してさらなる「パストゥール化」が進行しているように見えるなか、産業的酪農と比較しながら山地酪農の実践を見ることで、「ポスト・パストゥール化」や「非パストゥール化」の方向性を、ミクロ・バイオポリティクスからマクロ・バイオポリティクスに至る広がりのなかで捉えるための足掛かりとなる一歩を踏み出せたと言えよう。次年度に向けてさらに研究をすすめ、まとまった形にしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では2023年度に北海道およびヨーロッパでの現地調査を実施する予定であったが、スケジュールおよび予算の関係で次年度以降にまとめて行うことに変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、引き続き文献研究をすすめるとともに、中国山地、北海道、ヨーロッパにおける現地調査を実施する予定である。
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