Project/Area Number |
23K01034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奈倉 京子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (70555119)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 共生の文化 / 知的障害 / スペシャルオリンピックス / 福祉型カレッジ / 福祉作業所 / 静岡県沼津市 / 共生 / 文化 / 社会的弱者 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、障害者権利運動と連携しながら障害者の社会的包摂を指向するのとは異なる視点に立ち、様々な差異をもつ人々が、官許の統治の論理に巻き込まれず、かつ当事者(障害者およびその家族)の主体性に過度に頼らない共生論理を如何にして形成できるかを検討する。具体的には、言語的な意思表示が困難な中重度の知的障害をもつ成人と支援者、介助者等多様な存在者たちが、家族を超えた他者とつながる「中間的領域/組織」における相互行為、協働作業を通して、「健常者(マジョリティ)/障害者(マイノリティ)」という二項対立の壁を乗り越える「共生の文化」を生み出すことは如何にして可能かということを探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度の収穫は、関係者と良好な関係を築くことができ、予想以上に関係者のネットワークへ入っていけたことである。ゼミ生を対象とした教育機会にも恵まれ、研究と教育を結合させながら調査研究できた。大きく3つの調査をおこなった。 1つは、静岡県沼津市にある福祉作業所(A型とB型)の訪問と経営者への聞き取りである。利用者の高齢者、地域との連携、納期を守ることが難しいこと等の課題がみえた。 2つめは、「ゆたかカレッジ沼津校」(軽中度の知的障害者が支援学校卒業後、生活字自立訓練と就労訓練をおこなうための4年生の福祉型カレッジ)を訪問し、創設者に立ち上げの経緯などの聞き取りをおこない、支援職員とともに学校を見学しながら利用者の様子について伺った。「ゆたかカレッジ沼津校」とは、2023年10月に、私のゼミ生との交流会も開催し、「共生の文化」を現場レベルでつくるにはどうしたらよいかということについて思考した。 3つめは、知的障害のある人の国際的なスポーツ組織である「スペシャルオリンピックス静岡」の活動を参与観察した。「認定コーチ」の資格を取得し、毎週ボウリングの活動に参加しながら、知的障害のある人とその家族に接して、「共生の文化」を形成させるための方法を模索した。また当組織の家族交流会、県大会、総会などのイベントにも参加し、政治家や企業との連携についても調べた。 また、中華圏の障害認識と民間組織の「共生の文化」形成を考察するために、南京大学教授を招聘して、講演会を開催し、学術交流をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
知的障害者家族のネットワークにうまく参入することができ、ゆたかカレッジの代表者等と出会うことができたため、予想以上に調査が進展し、計画以上の研究成果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、広く活動に参加することで、1年の流れを把握し、関係者に出会い、関係を構築することに重点を置いた。その成果を踏まえて、今年度は、どのようなテーマを追求していくか、徐々に考察の焦点を絞っていくことを目的としている。具体的には、スペシャルオリンピックスの練習中の人間関係の諸相を人類学の理論的枠組みを参照しながら分析することや、福祉型カレッジの学生との共生について具体的な交流会を開催すること等を通して思考することを予定している。
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