Project/Area Number |
23K01035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Professional College of Arts and Tourism |
Principal Investigator |
木田 真理子 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 准教授 (80913970)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 荒川修作+マドリン・ギンズ / モノと身体 / 空間 / ダンス / 芸術実践 / 日常と非日常の身体性 / 人類学 / 情動 / 荒川修作+マドリン・ギンズ / 知覚 / 空間と身体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、身体とモノや環境との相互作用の過程で自他の共約不可能性や身体の変容・拡張がいかにして引き起こされているのかを人類学的に解明する。日常生活から切り離せない身体が芸術作品にもなるダンスの両義性に着目して、長年プロのダンサーとして培ってきた申請者の身体感覚をオートエスノグラフィーとして記述する。申請者の経験と、日常の身体感覚に揺さぶりをかけ思考を反転させようとした美術家の荒川修作とマドリン・ギンズの思索や身体論と掛け合わせながら、芸術的実践と日常的実践を架橋することの可能性と課題を理論的に析出し、ひいては新たな芸術実践へと道を開く。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常の身体感覚に揺さぶりをかけ思考を反転させようとした美術家の荒川修作とマドリン・ギンズの思索と、長年プロのダンサーとして培ってきた申請者の身体感覚や経験とを掛け合わせながら、芸術的実践と日常的実践を架橋することの可能性と課題を理論的に析出し、新たな芸術実践へと道を開くことである。 2023年度は荒川修作とマドリン・ギンズ(以下、荒川+ギンズ)の作品調査を主に実施した。荒川+ギンズの作品が国内の芸術祭や美術館で取り上げられる機会が多い当たり年だったため、当初計画していた作品調査の計画内容を微調整して、2023年度のみ開催されていた企画や展示を優先的に調査した。 主たる成果は、荒川+ギンズの思想をもとに考案された身体ワークショップの分析を『Art and Philosophy in the 22nd Century: After Arakawa and Madeline Gins』に寄稿し国際的に発信できたことと、荒川+ギンズモックアップ研究会にて「ARAKAWA+GINSとダンス作品 -Artistsの経験が交差する舞台空間-」を発表できたことである。そのほか、子どものための舞台公演に空間演出アドバイザーとして携わる機会があり、「舞台に馴染みのない子どもの身体と荒川+ギンズの思想を架橋して空間からダンスを立ち上げる」ことを試みた。振付家や舞台美術アシスタントとともに頭だけではなく手や身体を動かして試行錯誤を繰り返しながら実際に舞台セットを製作した。この経験によってダンサーとは異なる感覚や視点で、ダンス作品の創作過程のみならず荒川+ギンズの立体作品や建築空間についても考察を深めることができたことは大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、2023年度は主に荒川+ギンズの作品調査を実施した。調査地は以下のとおりである。群馬県立近大美術館(展示室5:荒川+ギンズの大型作品を含む初期1960年代の絵画)、岐阜現代美術館(「荒川修作 円筒を読む」)、養老天命反天地(荒川+ギンズ作品)、三鷹天命反転住宅(荒川+ギンズ作品)、奈義町現代美術館(展示室「太陽」:荒川+ギンズ作品)、セゾン現代美術館(「荒川修作+マドリン・ギンズ 意味のメカニズム127作品」)、実験映画「WHY NOT」「For Example」(荒川修作監修)上映会、養老芸術祭2023など、荒川+ギンズの絵画、立体、映画作品、そして晩年の建築作品まで幅広く調査し資料収集を行った。また、三鷹天命反転住宅にかつて住んでいた方にインタビューを実施し、荒川+ギンズ(住宅)作品の中で生活することで身体や感情がどのように変化したのかを聞き取ることができた。さらに詳しく話を伺う必要はあるが、今後の研究に必要な基礎情報を集めることができた。以上のことからおおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は昨年に引き続き荒川+ギンズの作品調査を進めつつ、空間と身体がどのように相互作用するのか、荒川+ギンズの思想をもとに身体ワークショップを考案して実施する。ワークショップ実施後は体験者にアンケートやインタビューを行う予定である。また、前年度までに集めたデータ整理を進め、投稿論文としてまとめることを目指す。 当初の計画にはなかったが、2023年度に美術家のVR展示に振付アドバイザーとして関わる機会があり、VR特有の感覚を荒川+ギンズの思想から捉え直す試みを行った。この試みで荒川+ギンズ研究の新たな可能性が見えたことから、今後はダンス以外の分野にもフィールドを広げ研究を進めていく予定である。
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