Project/Area Number |
23K01036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
村山 絵美 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60582046)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 戦争体験者 / 記憶 / 伝承 / 沖縄戦 / 家族 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、家族を記憶の「伝承」の場と位置づけ、私的領域において、戦争体験者の後続世代がどのように先行世代の戦争体験を聞き、そこからどのような記憶が取捨選択され、家族史・誌の中でどのように位置づけられてきたのかを検討し、戦争の記憶の伝承への民俗誌的アプローチを試みる。 生活空間(民俗空間)の中で戦争の記憶がどのように共有・分有されてきたのかを検証することで、いかなる関係的・精神的基盤のもとで、後続世代が戦争体験を伝承する媒体や主体となるのか、そのための条件とは何なのかといった伝承の原義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦争体験者とその家族(特に子や孫の世代)を事例として、彼らの戦後の生活史の中で戦争体験を幅広く捉え直すことにより、記憶の伝承への民俗誌的アプローチを試みようというものである。具体的には、沖縄戦体験者の後続世代、ならびに、彼らを取り巻くモノ(位牌、遺影、墓等)やコト(盆や清明祭、集落の慰霊祭、戦死者の供養等)を記憶の媒体と捉えることで、彼らが生きる生活空間(民俗空間)の中で戦争の記憶がどのように共有・分有されてきたのかを微視的に検証する。 本年度の研究は、大きくわけて二つの作業を実施した。一つは、戦争体験者と後続世代の関係を検討するため、先行研究の収集と分析を行った。さらに、図書館や研究機関などを通して、戦争体験者の子や孫の世代が家族の戦争体験について書いた手記や自分史に関するデータを収集し、それらの整理・分析を進めた。これらの作業を通して、家族の中で戦争体験がどのように語り継がれてきたのかを具体的に検証するための端緒をひらくことができた。 もう一つは、戦争体験者の家族への聞き取り調査である。自分史として沖縄戦体験を執筆された体験者の家族を対象に、出版に至るまでの経緯や、家族内の戦争の記憶の継承についてインタビューを実施した。家族への聞き取り調査は、来年度以降に重点的に進めていく必要がある。また、慰霊の日などに、戦争中の避難経路、家族の死没地、戦死者が祀られている慰霊碑などを巡る家族もおり、多くの場合、その実践の担い手は次の世代に移行している。家族へのインタビュー調査に加え、今後はこのような記憶実践に関する調査も行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、戦争体験者の家族への聞き取り調査を目的としたフィールドワークを2回実施する予定であったが、研究協力者との日程調整が合わず、1回は中止となった。その一方、想定していた以上に自分史等の資料調査が進んだため、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、今年度と同様に資料調査(沖縄戦体験者やその家族が書いた自分史や手記の収集と分析)と沖縄戦体験者やその家族への聞き取り調査を並行して実施する予定である。特に次年度は、沖縄でのフィールドワークを発展的に行いたい。
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