Project/Area Number |
23K01047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
中川 理 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (30402986)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | サプライ・チェーン / 農業 / 資本主義 / 民族誌 / モン / フランス / 経済人類学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランスにおけるズッキーニの生産と流通の経路(サプライ・チェーン)を、そこに関わる多様な人々それぞれの論理と欲望が理解できるように、民族誌的に描き出そうとする。その際とくに、ラオスから難民としてやってきて南仏で主要なズッキーニ生産者となっているモン(Hmong)農民による生産・販売と、ズッキーニが販売される中心的な場であるスーパーマーケットの労働者の働き方に注目する。生産と流通の鍵となるこれら二つの局面を集中的に調査することで、一つのサプライ・チェーンが利益の追求に収まらない多様な論理や欲望をどのように結びつけているかを具体的に明らかにすることが、本研究の狙いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスにおけるズッキーニの生産と流通の経路(サプライ・チェーン)を、そこに関わる多様な人々それぞれの論理と欲望が理解できるように、民族誌的に描き出すことを目的とするものである。本年度の研究においては、種子の開発・販売を行う企業とラオスから難民としてやってきて南フランスで主要なズッキーニ生産者となっているモン農民との関係について現地調査を実施するとともに、資本主義に対する民族誌的アプローチに関する理論的考察を行い最初の成果を発表した。 第一回の現地調査(2023年10月10日~11月1日)では、サプライ・チェーンの起点となる種子企業、および種子(および農薬・肥料)の販売を媒介する販売業者と、モン農民との接合に注目し、重点的に聞き取りと参与観察を実施した。この調査を通して、種子企業による植物の資源化・商品化のプロセスに、モン農民がむしろ積極的に関与していることが明らかになった。ただし、ズッキーニを資源として利用することでモン農民は独立の理想を実現しているといえるが、資源化は完全ではなく植物と農民のあいだのケアしあう関係も存在していると調査結果から考えられる。 現地調査と並行して、どのように資本主義という対象に民族誌の視点からアプローチできるかについて考察を進めた。その現段階でのまとめとして「生成する世界のフィールドワーク」、「資本主義の民族誌」(ともに『フィールドワークと民族誌』所収)を発表した。また、その他の発表論文においても、本研究の理論的課題について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究計画はおおむね順調に進捗しているといえる。本年度のうちに2回の実施を計画していた現地調査のうち、2024年3月に予定の調査は研究代表者の家族の健康上の問題により実施することができなかったが、計画通りの調査を2024年4月~5月に実施することができた。したがって、調査計画に変更は生じていない。また、種子企業関係者との関係構築が順調に進んだため、種子企業・販売業者と農民の関係に当初の想定より重心をおいてフィールドワークを進めた。このことは、サプライ・チェーンの全体の理解を進めるという研究目的によい影響を与える計画の変更であり、それによって植物と人間の関係についてより深い理解が可能になったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
種子企業・販売業者と農民の関係が、ズッキーニのサプライ・チェーンを理解するうえで決定的に重要である点が、本年度の調査によって明らかになった。そのため、来年度以降も両者の関係の解明に焦点を当てて調査を進める。同時に、南フランスのモン農民によるズッキーニの生産と販売がどのように変容しつつあるかについても、計画通り調査を実施する。スーパーマーケットの労働者の調査については、来年度に予備調査を実施し、どのようなかたちで調査実施が可能かについて検討する。もし困難に直面した場合には、この点に関する調査計画の修正を来年度中に行う予定である。理論的検討に関しては、本年度の研究成果を基盤として民族誌の比較による検討を進め、その成果を順次発表する。
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