Project/Area Number |
23K01048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 浩二 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (80399782)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 中世 / 法学 / ヨーロッパ / 契約 / 不法行為 / ローマ法 / カノン法 / 私法 / 近世 |
Outline of Research at the Start |
中世ヨーロッパにおける法学の契約法・不法行為法に見られた諸々の特徴は、近世・近代に法学の理論化が進むと否定的に捉えられるようになっていったが、現代法においては「復権」の傾向を強めている。本研究では、中世法学のうち従来から検討されてきた学説自体ではなく、その実務への適用に着眼し、実務が学説をリードし、現代法へとつながる系譜を維持させていた可能性を論ずる。学説を実務に適用するあり方を示す史料として、当時多数出現した「法の手引書」を取り上げ、法の利用者が新たな学説と既存の法を具体的にどう使い分けていたのか、そしてその背景を明らかにし、現代法の動向に歴史的視座から光を当てることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象である中世法学の契約・不法行為に関する学説について、検討予定の論点である〈一般的請求権〉vs.〈スタンダードとしての個別的訴権〉、〈合意は拘束する(契約自由)〉vs.〈信義則・正当価格・正当原因〉、そして不法行為における〈賠償(損害の填補)〉vs.〈刑罰(制裁)〉に関連する、未検討の先行研究の調査・収集を進めた。内面法廷(告解)と外面法廷(裁判所)の二重性と基準の相違、原状回復概念の重要性、14世紀以降神学が経済活動の積極的容認に転換したことなど、法の利用にも影響を与える内容につき、近時の研究の進展をフォローし、研究視角を明確化するよう努めた。この作業にやや時間を要したこともあり、当初予定していた契約についての史料(手引書)の検討は次年度に持ち越すこととなった。 他方、上記の作業内容は、研究代表者が編者を務めているヨーロッパの民法・民事訴訟法(に相当する内容)の通史を扱う教科書の執筆・編集作業と、かなりの程度重なるものであった。近年あらゆる学問分野で教科書が多数刊行されているのに対し、西洋法制史については邦語の一般向け著作が非常に少なく、とくに私法の内容そのものについてはほぼ皆無という状況であり、教育・研究上重大な支障となってきた。アップツーデートな内容の教科書の出版は研究成果の国民への還元として重要な作業である。同じ問題意識に基づき編まれた別企画の概説書が今年度刊行され、研究代表者が執筆した内容もその中で公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画上は、中世法学における「契約の自由化・一般化」に関する当時の手引書の検討まで進める予定であったが、今年度は関連する先行研究の収集・分析を行うにとどまった。関連する研究の量と広がりが、事前の想定を大きく上回ったためである。しかし、手引書について研究代表者はこれまでの自身の研究の蓄積をもっているため、残り2年の研究期間中に当初予定していた計画内容を完了することは十分可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」欄に記載したとおり、中世法学における契約については次年度に検討することとなる。次年度は海外出張による現地調査を予定しているため、当初次年度に予定していた不法行為についての検討とあわせ、前提となる作業を出張までに完了させるよう、鋭意努力したい。研究計画の大幅な変更は必要ないと現時点では考えている。
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