明治前期日本における紛争解決をめぐる国家と社会の相克:Infra-Justiceの視点から
Project/Area Number |
23K01053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三阪 佳弘 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (30219612)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 明治前期 / 紛争解決 / Infra-Justice / 司法制度 / 民事訴訟 |
Outline of Research at the Start |
本研究は「国家が設定する近代的『司法』の領域拡大に対して、伝統社会の紛争解決・秩序維持機能がどのように変化するのか」の解明である。この課題に対して、明治前期民刑事判決原本と関連資料を検討し、具体的な事件において、地域の紛争解決主体(親族あるいは職能団体、地域共同体等)が紛争解決に至るまでにどのような動きをするのか、その過程で国家の司法権はどのように関わったのか(又は関わらなかったのか)、人々ではそれをどのように利用したのか(又はしなかったのか)という観点からアプローチする。ここで得られた具体像がInfra-Justice 概念を介して西欧の近代以降期の紛争解決のあり方と比較しうるか検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前近代(伝統社会)から近代への移行期(明治前期=1870~80年代)の日本を対象として、国家が設定する「司法権」(近代の公的司法)の領域拡大に対応して、伝統社会が従来有していた紛争解決・秩序維持機能がどのように変化するのか?を解明することである。そのために本研究での具体的作業では、以下の3つの柱を軸としている。 すなわち、一定の地域・事件類型等を定めて、①判決原本レベルでの具体的な紛争実態を解明すること、②判決原本以外の裁判所関連史料により、具体的な紛争実態を解明すること(判決に至らないで解決される紛争実態を解明すること)、③①②の裁判史料に基づく具体的な紛争について、周辺在地史料により「深掘り」し、法的レベルの背後にある人々紛争解決行動(法的制度の利用に関わる意思決定とそれに基づく行動)を明らかにすること、である。こうした具体的な紛争解決の実態分析の蓄積を通じて、方法としての「infrajustice」観念を豊かにしていくことが本研究の目的である。 令和3年度はおもに①について作業を進め、まずは研究代表者による研究蓄積のある滋賀県彦根地域の明治前期民事・刑事判決史料を用いて、人々が裁判所にアクセスする際に、どのような人々によってどのような法的サポートを受けていたのか、原被告およびそれらを媒介する人々が、具体的な事件を契機に、裁判所を舞台にどのようなネットワークを結んでいたのかを明らかにし、裁判所およびそこでの紛争解決が持つ役割を、利用する「人」の面から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定していた3つの柱(判決史料、判決以外の裁判所史料、在地史料)のうち、判決史料レベルでの検討について、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
判決レベルでの具体的な紛争解決実態を判決原本で明らかにしていくとともに、広島修道大学における共同研究の成果である、中国地方の広島控訴院管轄下の判決以外の裁判所史料を用いて、判決による終局に進まずに解訟した事件についての分析を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)