Napoleonic cadaster as a source of modern cadastral system : significance and limitation of land information survey by the State
Project/Area Number |
23K01061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ナポレオン地籍 / 土地情報 / フランス法 / 不動産登記 / 地租改正 / 境界 |
Outline of Research at the Start |
本研究の核心をなす学術的「問い」は、第一に《近代地籍の源流としてのナポレオン地籍の特徴は何か?20世紀での地籍修正の特徴は何か?》、第二に、《フランス地籍との比較において、日本の地籍の原点である地租改正及び国土調査法に基づく地籍調査は、いかなる特徴があるか?改善の余地はないか?》である。 第一については、本研究は、フランスの制度の実態について、現地調査を踏まえた信頼できる情報を提供する。フランス地籍は、所有権界を対象とし、当事者の合意を活かしていることが重要である。 第二については、日本の地籍は、筆界調査であることを前提に、当事者の合意を活かすことが不可能でないことを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
所有者不明土地問題を契機にして、公的土地情報の起点としての地籍制度への関心が高まっているが、本研究は、近代地籍の原点であるナポレオン地籍を、具体的に解明する。ナポレオン地籍は、不動産税の公平な課税のため、統一的マニュアルに基づき、1807年から整備開始され、1840年代に完成した全土の筆単位についての土地情報であり、公務員測量、平板測量、三角測量等の近代地籍の特徴を備えたことを明確化しつつある。 本研究は、フランスの県公文書館等の地図、課税台帳、相続申告書、不動産登記等の資料を総合的に活用し、ナポレオン地籍及びその後の地籍修正の具体的な姿を明らかにする。更に、フランス地籍は、(三角測量がなく、私人測量等によった)日本の地租改正のあり方と大いに異なること、また、20世紀の地籍修正でも隣接地所有者の合意を生かしていることが裁判例に基づき解明しつつある。 本研究の最大の目的は、ナポレオン地籍の意義について、従来の日本にあった消極的な評価を具体的な資料に基づき克服することである。地租改正研究で知られる福島正夫は、かつて、ナポレオン地籍について、消極的評価を展開し、「フランスでは、1807年の法律で土地台帳が制定されたが、その完成は1850年代に入ってからであり、しかもその結果はいちじるしく不完全であった(星野英一論文、江川英人編フランス民法の百五十年)」、同『地租改正』(吉川弘文館、1968年)256頁)と述べた。ところが、フランスのナポレオン地籍調査は、そもそも、専門家が地籍調査をおこない(そのために、教育機関も創設された)、一つの村について4年間をかけて行う、村の境界調査、村地図作成に際しての三角測量の利用など、日本の地租改正に比べて相当の水準にあったことを明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに述べたように、本研究の課題は、ナポレオン地籍編成の具体的なあり方を明らかにすることである。この点について、本年は、『地籍法令体系総覧』(1811年):基本原理・組織・測量」獨協法学115号(2021年8月)で、ナポレオン地籍のマニュアルであった『地籍法令体系総覧』Recueil methodique des lois, decrets, reglemens, instructions et decisions sur le cadastre de la France(1811)を丁寧に再読しながら検討を行った。各村の地籍編成に4年が必要なこと、各地籍測量担当者に必要な器具等が明記されていることなどが特徴である。 ナポレオン地籍は、成果として、3大書類が重要であり、それは、地図(plan)、セクション台帳(etat de section)、課税台帳(matrice cadastrale)等が各県の文書館で保存されいる。この調査が今後の課題となるが、その前提として、地籍編成の具体的あり方について、基礎資料の精読及び関連資料の収集が可能になったことが大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策には、2点がある。一つは、ナポレオン地籍の三大書類である地図(plan)、セクション台帳(etat de section)、課税台帳(matrice cadastrale)の具体的調査である。これらの書類は、現在では各県の文書館に収められている。一部はネットで閲覧可能であるが、とりわけ課税台帳は、現地での閲覧が必要な場合が多い。この点について、文書館を訪問して調査を行う。その際、地籍関連書類だけでなく、身分証書、相続申告書、不動産登記関連書類など周辺資料をも閲覧しながら、総体的な土地情報のなかでの地籍の位置を明らかにする。 第二は、境界法理についての検討深化である。国家による土地情報把握の重要な部分は、だれが、どの土地を所有しているかであるが、その際、境界は土地の範囲を示すものであるから、非常に重要である。フランス法では、土地所有権の境界を裁判上定めるには、所有権確認訴訟(action en revendicaiton、民法には明文規定はない)だけでなく、境界確定訴訟(action en bornage、民法646条)が存在し、後者は、証明責任の概念の適用を受けない双方訴訟(原告も被告もない訴訟)であるとされる。この点と地籍が定める境界との関係の理解が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)