Project/Area Number |
23K01066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河野 恵一 立命館大学, 法学部, 教授 (90380659)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 日本中世法 / 戦国法 / 紛争解決 / 喧嘩両成敗 / 衡平 / 日本法史 / 紛争処理観 / 解死人 / 中近世移行期 |
Outline of Research at the Start |
前近代日本の紛争解決に際しては、双方当事者の是非を決することよりも、両者の衡平感覚を充足させることが優先され、そのための法や社会慣行が多く存在したことが知られる。本研究では、中世の「折中」観念に由来するとされるこれらの制度が社会に定着していく過程を中世後期から近世を対象に検討するとともに、その結果を近代以降の紛争処理のあり方と比較することで、日本的紛争処理観念の特徴としてしばしば指摘される「白黒をつけない」ことを是とする考え方がどのようにして成立、定着していったのかを通時代的に明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、紛争にあたり「白黒」をつけない、「痛み分け」の解決策を是とする日本的観念の歴史的展開を明らかにすることを目指す。前近代日本では紛争解決にあたり、当事者間の衡平の確保を是非(「白黒」)判断よりも優先し、時に各者に「痛み分け」を強いる法や社会慣行が散見される。中世後期におけるこれら諸制度の定着、近世における展開ないし変質を検証し、明治期以降を展望する。 計画の概要は以下の通りである。①紛争の「痛み分け」解決に言及した文献や資・史料の網羅的な分析を通じた論点抽出、②主に中世後期の紛争処理事例の個別検証を通じた「痛み分け」解決の意義づけ、③近代以降の「痛み分け」解決事例の検証とその結果の②との照合・統合。 令和5(2023)年度は戦国法や喧嘩両成敗(「痛み分け」解決制度の典型例)に関する依頼原稿を執筆する機会を得た関係もあり、①の作業を、戦国期に関するものを中心に進めた。これらに関連する範囲内で②の作業にも取り組んだ。その過程で、戦国期の法や紛争解決のありかたに関する最新の研究動向を把握するとともに、先行研究の知見について見落としを補い、大小の諸論点を再確認することができた。当初の計画では①の作業を、時代を問わず進める予定としており、全体として成果が限定的なものに留まった。他方、②の作業において戦国期のことがらは検討の軸と位置づけているものであり、今後の進め方の構想をある程度固めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、令和5(2023)年度は上記①の内容全般に取り組む予定としていたところ、作業が戦国期についてのみにとどまった。関連して、令和6(2024)以降に行う予定の②の作業の一部を進めたものの、全体としての進捗はやや遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で想定した手順を一部変更しつつ上記①~③の作業に取り組む。②の軸となるべき戦国期のことがらへの検討が先行している現状を踏まえ、令和6(2024)年はひきつづきこの作業に重点を置いて取り組む。これと関連するものを優先しつつ、①②での文献や資・史料の検証作業に取り組むこととしたい。
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