Project/Area Number |
23K01129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小畑 史子 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00262494)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 労働安全衛生 / 多様な労働者 / 労働災害 / ビジネスと人権 / 労働安全衛生法 / 労災補償 / 労働者像 |
Outline of Research at the Start |
労働災害の防止を目的として、労働基準法から独立する形で半世紀前に立法された、労働安全衛生法の法的性質につき、未だ十分に明確化されていない基本的事項を探究する。また、高齢の労働者・障がいを有する労働者の増加、傷病休職から復帰する労働者の増加、兼業・副業する労働者の増加等により多様化する労働者像を踏まえ、わが国の労災防止のための法制度が、全体として、これらの多様な労働者像を視野に入れた上でも、労災防止の機能を十分に果たしうるものとなっているのかを探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、わが国の労災防止のための法制度が、多様な労働者を視野に入れた上でも、労災防止の機能を十分に果たしうるものとなっているかを明らかにするものである。十分に果たしうるものとなっていないとすれば、いかなる修正を施す必要があるのかも視野に入れる。 2023年度は、第一に、「労災を防止するための法律である労働安全衛生法と労災に被災した労働者やその遺族からの損害賠償請求との関係」という基本的論点に関する論文を執筆した。 第二に、多様な労働者が労働災害に関して困難に直面している事例を、最近の裁判例等を素材に研究し、研究会において研究発表を行うとともに評釈を執筆した。その結果、障害を有する労働者や海外に派遣されて働く労働者の労災に関する検討が喫緊の課題であることが明らかとなった。 第三に、同じ問題意識をもつ複数の研究者とグループを組み、障害を有する労働者、高齢の労働者、兼業・副業を行う労働者、家族的ケアを担う労働者等の労災につき共同研究を行い、日本労働法学会のワークショップを主催することとした。 第四に、「国内の労働分野における政策手段を用いた国際課題への対応に関する検討会(ビジネスと人権検討会)」の委員として、インドネシア商工会議所やILO、JETRO等にヒアリングを行った。そこで、海外進出したわが国の企業が、わが国の労働安全衛生の法制度に沿った行動を海外進出先でもとっていることにより、国際的に高く評価されている等の情報を得た。労災防止・安全衛生は各国で取り組まれている課題であるが、わが国の企業が海外進出先で現地の労働者に対して日本国内と同様の取り組みをしていること、およびその情報が国際的に注目されてわが国の企業の価値を高めることにつながっていること、そのような形で多様な労働者に対する安全衛生の保護(労災防止)の一部が間接的に達成されうること等の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、労働安全衛生法規の法的性質という基本的事項についての理論的検討を行うとともに、障害を有する労働者や海外に派遣されている労働者の労働災害に関する事例研究を行うことができた。また、インドネシア商工会議所やILO等へのインタビューを通して、労災防止・安全衛生に関する日本法やわが国の企業の取り組みが国際的に高く評価されており、その評価が企業価値を高め、それゆえにさらに取り組みを進めることが企業の合理的な行動となるという知見を得ることができた。また、多様な労働者の労働災害につき、複数の研究者と共同研究し、その成果を2024年の日本労働法学会のワークショップで発表することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究目的の達成に向けて、障害を有する労働者、外国人労働者、高齢の労働者、兼業・副業を行う労働者、フリーランス等の労働災害に関する事例研究を進め、それに関する研究発表や論文執筆を行う。また、2024年5月に、複数の研究者を招いて、多様な労働者の労働災害に関する研究会を開催し、その成果を2024年6月の東京大学労働法研究会で発表する。さらに共同研究を進め、2024年の日本労働法学会のワークショップで発表する。 また、国際的な視野に立ち、わが国の労災防止の法制度とそれを海外進出先でも遵守するわが国の企業の取り組みの展開を検討する。
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