Project/Area Number |
23K01132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井畑 陽平 長崎大学, 経済学部, 教授 (80467406)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | モバイルエコシステム / IT技術 / アルゴリズム / 連邦反トラスト法 / 競争法 / 不公正な競争方法 / 独占禁止法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、競争を唱導する独禁法をベースとし、モバイルエコシステム間の競争を促進しながら、「不公正」という柔軟な概念を積極的に活用することで消費者法等とも接続した解釈論を展開することで、同システムにおける取引の公正性をも確保しうる望ましい法規制のあり方について究明するものである。本研究から得られる成果は、「競争」や「取引の公正性」といった柔軟な概念をベースとして個別的問題に対する具体的な施策を示そうとするものであり、モバイルエコシステムが、日常生活へ一層浸透した際に社会が直面すると考えられる、将来の法的課題の解決策を考察するにあたっても転用が可能な理論的基盤を形成するのに役立つものと期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究を開始した年度であったため、本研究全体に関する文献検索及び収集を行った。おおむね年度前半は、わが国の審判決例の収集と分析に重点を置いて研究を進めた。なお、モバイルエコシステムにおける理想的な市場秩序形成に資する法規制のあり方とは何かという問いに関わる解釈論を展開するためには、公取委により事件化された審判例や独禁法を根拠として提起された民事判決の収集・分析に加えて、個人情報保護法やEコマースを規律する特定商取引法等を根拠として提起された民事判決の収集・分析も重要であり、それらに関連する先例についても収集し分析を行った。なぜなら、独禁法以外の諸法律に違反する行為類型は、取引の公正性概念の外延を形成するものであり、本研究の検討を進める上で、無視できないためである。 年度後半は、米国法を考察する上で必要な先例及び二次文献の収集と分析に重点を置いて研究を進めた。とりわけ、先行する科研研究課題で重点的に検討した、米国における反トラスト法の1つであるFTC法5条を根拠として消費者に対する「不公正な行為・慣行」を規制(禁止)している米国での先例のみならず、連邦法の条文を模倣しつつも、独自の判例法を形成している州レベルのFTC法(いわゆるリトルFTC法)違反が論ぜられた事案にも対象を広げて事案を網羅的に収集し、米国の競争法において競争と取引の公正性とにかかわる先行研究等を踏まえた解釈論を分析を進めた。本研究に先行する研究課題で得られた知見をさらに深掘りし、米国の連邦レベルと州レベルと双方の裁判所で、モバイルエコシステムについてどのような法的評価を与えているのか、そして、裁判所の判断を契機にどのような学術的検討がなされているのか、包括的な検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請書に記載した「研究の目的」に照らして、現在までの進捗状況について、おおむね順調に進展していると自己評価した理由は、以下の通りである。 本研究が対象とする分野では、法規制、実務、そして研究面において、常に新しい動きがあることを考慮すると、検討の対象としていた制度的枠組みが大きく変容したり、あるいは、より重要な検討対象が生まれたりするという事態も想定され、実際に、独占禁止法の解釈に大きな影響を与える公正取引委委員会によるガイドラインが2023年度中に公表改正された(いわゆる「グリーン活動にかかる共同行為ガイドライン」)。このような事態について、当該変容の過程で行われる議論や当該対象に関する外部での議論をも本研究の検討対象に取り込み、その適否を検討した上で独自の分析を進める方針で臨んでいる。さらに、本研究を進めていく過程で、状況の変化によっては、外部の研究者の専門性を活用する等の必要が生じる可能性がある。こういった事態については、随時、必要となる専門性を持つ外部の研究者の協力を(オンラインミーティングなどを活用しつつ)仰ぐなど、柔軟に対処できた。 2023年度末の時点では、所属する研究機関を通じて、判例等の一次資料及び論文・著書等の本研究に関連する二次資料について、必要なものを入手できている。また、CPRCを構成する研究者メンバーとのオンラインミーティングなどを介した討論を通じて(対面でのミーティングが通例化しつつあるが、長崎からの参加を考慮してハイブリッドで実施されることも多い)、研究を進めるに当たり取り組むべき課題やその対処方法の適正性についても担保できていると考えている。研究成果の一部について、著書(分担執筆)で、2点を2023年度内に公刊できたことが、研究の順調な進捗を特に示していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の基本的な推進方策とは、研究遂行にあたり、3年間にわたる本来は1つの研究を複数の段階に分け、それによって、単年度ごとに研究成果が出るようにすること、である。すなわち、本研究は、3年間の研究期間を、第一期(2023年度)、第二期(2024年度)、そして第三期(2025年度)に分けて遂行している。 研究期間の各期を通じて、一定の成果が得られた各段階で、複数の研究会において報告・発表し、さらにその過程で得られた知見をふまえて論文として公表し、それらに対する意見を積極的に求めるというやり方で進めている。こうすることで、そこまでの研究の客観的な位置づけをうるとともに、独善とならないよう十分に努め、次期の研究の方向性の適切さを担保できると考えている。 今後の推進方策として、2024年度は、年度を通じて、米国及び日本における競争法等にかかる解釈論との相対化を図るべく、EU法について、必要な先例の収集と分析に重点を置いて研究を進める。具体的には、まず、2023年に施行されたDMAにかかる学術的な議論動向をフォローしつつ、DMAに先行して、EU競争法違反が論ぜられたGoogle事件及びFacebook(現Meta)事件の2先例について、同判決で示された競争法解釈論のモバイルエコシステムへの適用をめぐり議論が蓄積されている学術的な議論を中心に分析する。なお、二次文献については、モバイルエコシステムが重視するアルゴリズムとEU競争法との関係について論じた書籍(Aurelien Portuese ed., Algorithmic Antitrust (2023).)等に引用されたものを中心に分析したいと考えている。2024年度を通じて行う研究の成果については、遅くとも2025年2月頃までに関西独禁法研究会等で報告し、その後の研究期間における研究目標の再検討に活かすものとする。
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