Project/Area Number |
23K01136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中里 浩 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (10965487)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | フリーランス保護法 / 著作者人格権 / 労働組合法 / 優越的地位の濫用 / 公共の利益 / 下請法 / 独占禁止法 / 公正取引委員会 / 単独行為 / 公的執行 / 私的執行 |
Outline of Research at the Start |
現代経済社会では、フリーランス、デジタルプラットフォームの分野を中心に、巨大資本の集積と情報力・交渉力の格差に伴う市場の固定化と利用事業者・消費者に対する囲い込みが顕著となっている。本研究では、単独行為に対する独占禁止法の適用に焦点を当て、実体法上の問題を並行的に検証しながら、問題を是正するための行政手続、民事手続、刑事手続の役割を再構築し、公正取引委員会中心主義からの転換・脱却を具体的に提言していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度前半は労働法と競争法の交差点に関わるアウトリーチ活動に注力した。具体的には、連合Wor-Qが主催するフリーランスサミット2023への参加依頼を受けて継続的に参加し、全国版(東京開催)2回、長崎や仙台での現地開催2回、オンライン開催5回を含めて合計9回、パネリストや基調報告役として登壇し、フリーランス当事者(UberEats配達員、アマゾンドライバー、フリーライター、アニメ声優等)、税理士、弁護士、労働組合関係者との議論を積極的に行い、フリーランスをめぐる現実的問題の把握に注力した。同時に、2023年5月に成立したフリーランス保護法の内容分析と問題点を抽出するとともに、デジタルプラットフォーム(DPF)の位置付けが曖昧であること、インボイス問題との関係を指摘した。 この問題意識を基礎として、「独占禁止法における公共の利益と正当化事由の関係ーフリーランスによる共同交渉の法的位置付け―」(現代法学 45号113頁から148頁まで(2023年12月)、「経済法と労働法の関係(単独行為の視点から)ウーバーイーツジャパンらに対する都労委命令を題材に」 土田和博編著『デジタル・エコシステムをめぐる法的視座』(日本評論社)所収 225頁から242頁まで(2024年3月)の執筆につなげた。前者は、石油カルテル刑事事件以降固定化されてきた独占禁止法上の「公共の利益」を再評価し、正当化事由として活用を試みたものである。後者は東京都労働委員会の救済命令が発出されたウーバーイーツ事件から、労働組合法上の労働者性の判断枠組みが優越的地位の濫用等の判断要素と重なることを指摘した。 さらに、2023年12月の国際著作権法学会日本支部総会に招待を受け、著作者人格権の不行使特約を経済法の視点から初めて分析し、独占禁止法や下請法の問題点を指摘し新規性のある研究発信につなげることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フリーランスをめぐる国内法の整理については、経済法のみならず労働法、著作権法にまで検討対象を広げることができ、またその対象行為としても、優越的地位の濫用をはじめとする単独行為、カルテルの対象の外縁検討に関わる正当化事由という二つの方向性につなげ、新規性を伴う一定程度の研究発信を行うことができたと考える。一方、海外調査については、1930年代の米国反トラスト法と労働法の関係について分析を行う予定であったものの、着手できなかったほか、米国の現状把握についても本来2024年初頭に予定していた米国現地調査が準備不足のため延期せざるを得なかったなど、2024年度に持ち越している。刑事法分野については、2023年度はリニア談合東京高裁事件についての判例評釈を行ったものの、それ以外は目立った進展につなげることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2023年12月に実施した国際著作権法学会日本支部で発表した著作者人格権の不行使特約問題については、同学会誌に論稿を掲載するべく、夏のうちまでに執筆活動を行う予定である。また、フリーランスサミット2024に向けた準備・発信を中心に、アウトリーチ活動を通じて問題意識のアップデートを実施する。 米国のフリーランスをめぐる労働法と競争法の交差点問題については、特に競業避止義務など米国連邦取引委員会による動きの早いテーマを中心に、現地調査を行うべく準備中である。刑事法分野については、2024年5月に、日中経済刑法研究会(於上海交通大学)において、「独占禁止法における課徴金減免制度と刑事罰の関係」について発表を行ったことから、この発表原稿をベースに、刑事訴訟手続との関係を大学紀要(冬ごろ)に公表する予定である。さらに、経済法の領域拡大の代表例として、漁業法分野との接点について執筆活動を進め、2024年7月にも主要法律雑誌に掲載される予定である。
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